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風に吹かれて

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Category: 日本映画

Tags: 時代劇  

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映画「最後の忠臣蔵」

最後の忠臣蔵

原作は池宮彰一郎の小説。
「四十七人の刺客」の後日談として書かれた物語で、発表当時の題名は「四十七人目の浪士」、後に改題されて「最後の忠臣蔵」となった。
脚本が田中陽造、撮影が長沼六男、美術が西岡善信という日本映画界を代表するスタッフたちが肩を並べている。
田中陽造は鈴木清順の「殺しの烙印」でデビュー、日活ロマンポルノを経た後、鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」や、相米慎二監督の多くの作品を手がけたシナリオライターである。
長沼六男は山田洋次監督の数多くの作品を撮ったことで知られるカメラマン。
そして西岡善信は、さまざまな有名監督、巨匠たちの作品で映画美術を手がけた映画美術界の重鎮である。
こうしたスタッフたちの力を結集しただけあって、素晴らしい映像美が随所に見られる。
また主なロケーション先となった京都の美しさが背景として巧みに生かされていることも、大きな見どころである。
さらには、原作にはない人形浄瑠璃が映画の重要なモチーフとして取り入れられていることも見逃せない。
そのことによって、この物語の悲劇性を暗示させる効果を上げている。
さらに香川県琴平町の「金丸座」を、人形浄瑠璃「曽根崎心中」が上演される「竹本座」に見立てて撮影されていることも注目すべき点である。
「金丸座」は過去にも篠田正浩監督の「写楽」でも使われたことがある。
1835年に建てられた、現存する日本最古の芝居小屋である。
毎年6月になると「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が催され、全国から大勢の歌舞伎ファンが訪れることでも知られている。
それがこの物語の重要なキーポイントとなる舞台として使われており、この時代を再現するための大きな要素となっている。

物語は討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)、そして浪士の遺族たちを援助するためと、討ち入りの真相を後世に伝えるという役目を命ぜられた四十七人目の浪士、寺坂吉右衛門(佐藤浩市)、ともに生き残ったふたりの浪士が16年の後に偶然再会、そこから瀬尾孫左衛門の命を懸けた使命が徐々に明らかにされていく。
討ち入りの華々しさとはまた違った、一途で苦渋に満ちた武士の生き様が描かれる。
ともに軽輩で親友同士の侍を演じる役所広司と佐藤浩市の顔合わせが、この映画の大きな魅力のひとつである。
火花を散らすようなふたりの風格漂う演技合戦から目が放せなかった。
また笈田ヨシが茶屋四郎次郎役で出演していることも、うれしい発見だった。
彼は文学座、劇団四季を経て1968年にロンドンでピーター・ブルック演出の舞台「テンペスト」に出演、以後はパリを拠点に、さまざまな国の舞台で活躍している俳優である。
1999年の映画「あつもの」で緒方拳と共演、強烈な存在感を見せ付けた。
そしてこの演技で「毎日映画コンクール」の助演男優賞を受賞している。
それ以来の日本映画出演になる。

監督の杉田成道は「北の国」シリーズの演出で知られたフジテレビのディレクターである。
これが映画監督としては3本目の作品である。

格調高く見ごたえのある映画ではあったが、傑作と呼ぶにはもうひとつ何かが足りない。
それが何か、まだよく整理できてはいないが、ただひとつ言えることは、いかに主人の命令とはいえ、遺児を育て上げることが果たして命を懸けるに足る使命なのかどうか、こうした設定にはいささか疑問が残ってしまう。そこにもっと強い説得力が伴っていれば、このうえない傑作となったにちがいない。


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Category: 日本映画

Tags: 藤沢周平  時代劇  

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映画「必死剣 鳥刺し」

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藤沢小説の映画化作品「必死剣 鳥刺し」を観た。
原作は「隠し剣」シリーズのなかの一編。
冒頭、桜が散るなかで舞う華やかな能舞台のシーンから、いきなり事件が起きる。
主人公、兼見三左エ門が突然、藩主、右京太夫の側室を刺し殺してしまったのである。
この唐突な行動がなぜ行われたのか、そして当然斬首と思われていた三左エ門が、なぜ1年間の閉門という軽い刑で許されたのか、その謎を追いながら物語は展開していく。
前半の静、後半の動という際立った対照を見せながら物語は進んでいく。
二つの謎解きとともに、その緊張感は終始途絶えることはない。
そして映画最大の見せ場となるラストの壮絶な大立ち回りへと雪崩込んでゆく。
そこで使われる三左エ門の秘剣「鳥刺し」には息を飲んだ。
これこそ武家社会の理不尽さに挑む、最後の一撃であった。
そのやるせない見事さには、思わず鳥肌が立ってしまった。
たったひとりで命の限りに立ち向かっていく、こうした悲愴美こそは、時代劇の華ともいえるものだ。
こういうシーンに出会うことができるから、時代劇を観ることはやめられないのである。




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Tags: 時代劇  

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映画「忍びの者」

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今年は映画監督、山本薩夫の生誕百年の年である。
NHK、BS放送では、それにあわせて彼の特集を組んでいる。
それが昨日から始まった。
まず第一番目の放映は「忍びの者」。
1962年の作品で、原作は村山知義、主演が市川雷蔵である。
翌年には同じく山本薩夫監督によって「続・忍びの者」が作られている。
そしてこの2作がヒットしたことで、いわゆる忍者ブームが巻き起こり、以降、これを真似た数々の忍者映画、テレビドラマが作られることになった。
そのブームが起きた最大の要因は、「忍びの者」のリアルな描写にあった。
それまでの忍者映画といえば、突然姿が消えたり、現れたりといった人間離れをした荒唐無稽な忍者の描かれ方ばかりで、いわばお子様向きのヒーローといった存在でしかなかった。
だが、この映画ではさまざまな人間わざや道具を駆使し、命がけで任務を遂行する血の通った人間としての忍者の姿が描かれており、それが見る者に新鮮なインパクトを与えたのである。
原作者の村山知義も、この小説を書くにあたって、実在した忍者たちの実像を徹底的に調査をし、それをもとに小説を書いている。
それが映画でも忠実に再現されており、説得力のあるリアルさを獲得しているのである。
さらに前年に封切られた黒澤明監督の「用心棒」や同年の「椿三十郎」のリアルな殺陣や、9月に公開されたヤコペッティの「世界残酷物語」の残酷描写の影響なども随所に見られ、それが背景となった戦国時代のリアリティーをいっそう高める効果をあげており、この映画をそれまでにない独特の時代劇としているのであった。

忍者とは、闇の世界で暗躍する陰の存在である。
けっして表舞台に立つことはない。
しかも厳しい掟や、厳格な身分によって縛られた社会に属している。
上の命令は絶対であり、そのためには命を投げ出すことさえある。
いわば世間一般の幸せや安逸とは無縁のところで生きる存在なのである。
そうした厳しさをもった忍者たちの世界が、映画の冒頭で克明に描かれていく。
主人公はあの世紀の大泥棒、石川五右衛門。
実は彼は百地三太夫率いる忍びの集団に属する忍者だったという設定になっている。
そして百地三太夫の命によって、織田信長を暗殺するという困難でしかも危険な任務に就くことになる。
その遂行のなかで世間の目をくらますための盗みを命ぜられ、瞬く間に大泥棒としてその名をとどろかせることになる。
しかしこれは周到に用意された百地三太夫による罠であり、そうとは知らぬ五右衛門は、彼の言いなりのままに信長暗殺の役目を果たそうとするのであった。
そうした闇の戦いの中で、人間、石川五右衛門の苦悩と迷いがダイナミックに描かれていく。

この映画を観ているうちに、昔リアルタイムで観たときの興奮が蘇ってきた。
その大きな要因は、山本薩夫監督の映画術の確かさもあるが、なによりも脇を支える俳優たちの個性の豊かさにある。
城健三朗(若山富三郎の当時の芸名)演じる織田信長の底知れぬ残酷さと豪快さ、そして五右衛門との道ならぬ恋に落ちる岸田今日子演じる百地三太夫の妻の妖艶さ、また加藤嘉演じる百地三太夫の片腕の忍者の得体の知れない不気味さ、いい映画というのは、こうした脇の役者たちが間違いなく生き生きと活写されているのである。
そしてなんといっても最大の牽引役は、百地三太夫を演じた伊藤雄之助の怪演ぶりだろう。
彼はどんな映画に出ても個性的な演技で目を惹く役者だったが、この映画での百地三太夫はそのなかでも白眉といえるものだ。
それほど印象に残る怪演であった。
今回約50年ぶりにこの映画を観なおしてみて、そのことをいちばん強く再認識したのであった。

このあと、「続・忍びの者」、「白い巨塔」(山本薩夫監督いちばんの傑作)、「真空地帯」、「荷車の歌」などの代表作がつぎつぎと放映される。
いずれも昔観た映画ばかりだが、この機会にまたもういちど観なおしてみようと思っている。
楽しみである。


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Category: 日本映画

Tags: 藤沢周平  時代劇  

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映画「花のあと」

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藤沢周平の短編小説を映画化した「花のあと」を観た。
例によって庄内地方を舞台にした時代劇である。
女でありながら男たちをはるかに凌ぐ剣の腕を持つ主人公、以登(北川景子)。
彼女が秘かに想いをよせる剣士、江口孫四郎(宮尾俊太郎)とのたったいちどの立合いにその想いのすべてをぶつけ、それを深く心の奥に仕舞いこんで、新たな人生へと足を踏み出していく。
だが、江口孫四郎が藩命を果たせず自ら命を絶つという事件が起きたことで、穏やかに過ぎていくかに思われた以登の人生が俄然波乱に満ちたものになってくる。
そしてその事件の裏には、彼の妻との不義密通を続ける重臣、藤井勘解由(市川亀治郎)の仕掛けた罠があったということがやがて明らかになってくる。
それを知った以登は勘解由に果し合いを挑み、孫四郎の敵を討とうとする。

映画の鍵は、たったいちど立ち合っただけの初恋の相手のために、命をかけてまで敵を討とうとする以登の姿に、いかに説得力をもたせるかにかかっている。
観客にそのことで違和感を感じさせないことが、この映画最大のポイントになってくる。
そしてそれはかなりの程度に成功していると思う。
女ながらに以登を一流の剣士に育て上げた父親、寺井甚左衛門(國村隼)の厳しさと優しさ、さらには彼らの日常の所作や佇まいに見られる奥ゆかしさや厳しさ、そしてそれを取り巻く美しい自然描写が、以登の凛とした心根を映し出すための大きな力となっている。
そうしたデティールを丁寧に描いていくことで、以登のもつ高潔な精神が輝きを増して迫ってくる。
なるほどこういう人間であれば、道に外れたこと、悪行に異を唱え、そうした行動に走るのも無理はないなと思わせてくれるものがある。
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また一本気な江口孫四郎とは対照的に、以登の許婚の片桐才助(甲本雅裕)の飄々とした存在がこの映画に余裕と広がりをもたらせている。
彼は後に筆頭家老として活躍することになるが(ナレーションによってそれが語られる。ちなみに藤村志保によるナレーションは、年老いた以登が若き日を回想するという体裁となっている。)そうしたことが素直に頷けるキャラクターである。
見かけは風采が上がらず、才色兼備の以登とは不釣り合いな男に見えるが、いざ事が起きた時には的確に物事の処理に当たるという、隠された能力をもつ男である。
そして彼はすべてを飲み込んで、以登の敵討ちの隠れたサポート役を見事に果たすのである。
だれもが賞賛する美丈夫な江口孫四郎の壊れやすさに対し、竹のようなしなりを持つ片桐才助の逞しさも、この映画の見所のひとつであろう。
ところで彼のキャラクターを見ているうちに、黒澤明監督の映画「椿三十郎」で伊藤雄之助が演じた城代家老のとぼけた姿を思い出した。
片桐才助も、おそらくこうした家老になったのではないか、そんなふうな想像をしながら楽しんだのである。

「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「蝉しぐれ」「武士の一分」「山桜」に続いて、また新しい藤沢小説の映画化がなされたことを、ファンとしてうれしく思う。
さらに平山秀幸監督の「必死剣 鳥刺し」という映画も控えている。
こちらも今から楽しみである。


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Category: 日本映画

Tags: 中村錦之助  時代劇  

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映画「宮本武蔵」

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先月NHK BS放送で「宮本武蔵」全5部作が連続放映された。
主演の武蔵を演じるのは中村錦之助、監督は内田吐夢。
この映画は1961年から1965年にかけての5年間に、年1作づづ作られたという大作である。
第一部から挙げていくと、「宮本武蔵」、「宮本武蔵・般若坂の決斗」、「宮本武蔵・二刀流開眼」、「宮本武蔵・一乗寺の決闘」、「宮本武蔵・巌流島の決斗」である。
吉川英治原作の小説のおもしろさを、重厚な映像と魅力あるキャスティングで描ききった、「宮本武蔵」の決定版ともいえる映画である。

この映画を初めて観たのは、中学生のときである。
偶然出会った「宮本武蔵」第一部のおもしろさに深く感動、すっかり魅せられてしまい、原作の小説をむさぼるように読んだ。
そして映画とはまた違った魅力に、はまってしまったのである。
結局映画は5年かけて5部作ぜんぶを観続け、観終えたときには、高校3年生になっていた。
そして大学入学後に、池袋、文芸座のオールナイト興行で全5部作を通して観た。
またその後、テレビ放映されたときにはビデオで録画、何回も繰り返し観た。

この映画の製作を開始するときに、監督の内田吐夢は「一年に一作づつ作っていくことで、中村錦之助が役者として、また人間として大きくなってゆく過程が武蔵の成長のうえに表れることを期待する」と言ったが、まさにそのとおりの映画であった。
と同時に、それを追い続けたわたし自身も、この映画によって随分と成長させられたのである。
「五輪書」をはじめとした「宮本武蔵」関連の本をいろいろと漁っては読み、また小説「宮本武蔵」についての読書感想文を高校の校内誌に書いたりと、この5年間は「宮本武蔵」一色の5年間だったのである。
そんな思い出のある映画がBS放送で連続放映されて、改めて観直したわけだが、やはり名作は古びることがない。
当時の感動が再び蘇ってきた。
と同時に忘れていた場面や、当時は何気なく見過ごしていた場面の深さに、あらためて気づかされるといったぐあいに、また新たな発見の連続であった。
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主演の中村錦之助にとってこの5年間は、彼の芸歴のピークともいえる時期であった。
この5年間に出演した「宮本武蔵」以外の映画では、「反逆児」(61年)、「ちいさこべ」(62年)、「瞼の母」(62年)、「関の彌太ッぺ」(63年)、「武士道残酷物語」(63年)、「真田風雲録」(63年)、「仇討」(64年)、「股旅三人やくざ」(65年)、「冷飯とおさんとちゃん」(65年)、と代表作が目白押し。
いかにこの時期の錦之助が充実していたかが、このことからもよく分かる。
そんな全盛期の錦之助が演じる宮本武蔵は、とにかく見応えがある。
身のこなしから殺陣のすごさまで、これ以上ない見事さで苦悩し成長する武蔵の姿を、武蔵になり切って演じている。
おそらくこれほど見事に武蔵を演じきれる役者は彼をおいて他にはいないだろう。
また今後も現れることがないに違いない。
そう思わせるにじゅうぶんな武蔵像であった。

「宮本武蔵」の予告編で、その魅力の一端を味わってみてください。






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プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2018年)70歳です。
性別:男

還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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