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風に吹かれて

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Category: 外国映画

Tags: 戦争映画  

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映画「フランス組曲」

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1940年、第二次世界大戦下のフランス。
ナチスによってパリが陥落、さらにその侵攻の鉾先は地方にも及び、フランス中部に位置する街ビュシーもナチスによって占拠される。
そこに住むヒロインのリュシルは、大地主の姑アンジェリ夫人とともにフランス軍の兵士として出兵した夫の帰りを待っている。
厳格で気難しく、小作人に対する態度も容赦のない姑との生活は陰鬱なものでしかない。
自分を押し殺しての毎日である。
その邸宅にナチの将校ブルーノが宿舎として住むことになる。
ブルーノは作曲家でピアニストである。
彼は夜ごとリュシルのピアノを弾くようになる。
微かに聴こえてくるその曲は、聴いたことのない曲であった。
その曲にリュシルの心が癒されていく。
やがてこの曲はブルーノが作曲した「フランス組曲」ということを彼から教えられる。
それがこの映画の題名である。

敵対する相手ということで一定の距離を置いていたリュシルだが、次第にブルーノに関心を覚えるようになっていく。
やがてそれが道ならぬ恋となっていくのである。
ふたりが愛し合うということは、同胞からすれば裏切り者ということになる。
先には悲劇だけしか見えない望みのない恋である。
それでも互いに惹かれてゆく姿が切なくもあり、スリリングでもある。
カーテン越しに相手の姿を見つめたり、ドアの隙間から隠れ見するようなショットが繰り返されるのは、そうした恋の危うさを表しているからである。

ヒロインのリュシルを演じるのは、ミシェル・ウィリアムズ。
けっして美人というわけではないが、控えめな中に意志の強さや情熱を秘めており魅力的。
穏やかなブルーノが惹かれるのがよく分かる。
そしてブルーノを演じるのがマティアス・スーナールツ。
以前観た「リリーのすべて」で、主人公の幼馴染の画商を演じていたのが印象に残った俳優であるが、ここでもまた新たな魅力を見せている。

この映画はアウシュビッツで亡くなったイレーヌ・ネミロフスキーの未完の小説を映画化したものである。
この小説は60年間開けられることのなかったトランクの中に眠っていたもので、それを彼女の娘が母親のためにと発表したものである。
そして出版されるや一躍ベストセラーとなった。
それを出版後10年を経て映画化されたのがこの作品である。
こうした事実はタイトルバックを見て初めて知ったことだが、それを知ることでこの映画がまた一段と深い彩りを帯びて見えてきた。

映画の中でパリから逃れてきたユダヤ人母子が出てくるが、おそらくこれがネミロフスキー母子なのだろうと思う。
ユダヤ人であることを隠していたが、最後は見つかり、収容所送りとなってしまう。
だが幼い娘だけは逃れることができ、アンジェリ夫人の邸にかくまわれることになる。
そうした添景として挟み込まれたエピソードが、この映画のさらなる悲劇性を高める要素になっている。


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映画「あの日の声を探して」

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1999年に起きた第二次チェチェン紛争を舞台に描いた悲劇である。
それを両親を殺戮された少年と、強制的に軍隊に入隊させられた若いロシア兵、そして少年を保護するEU職員という3つの視点から描くことで、紛争の絶望的な状況を浮かび上がらせる。
その過酷な現実には、思わず目を背けたくなってしまう。
しかしそれでいてけっして画面から目を離すことはできない。
映像が持つ力である。
そして両親を殺戮されたショックで声を失った少年と同じように、言葉を失い少年の絶望的な逃避行を息をつめて見守ることになる。

さらにもうひとつの視点、ロシア人の青年が強制的に入隊させられた軍隊のなかで陰湿な虐待を受けながら、次第に人間性を失っていく姿を見せられる。
スタンリー・キュブリックの「フルメタル・ジャケット」を思わせるような軍隊の狂気である。
そうした現実の前では、どんな言葉も無力だということを感じてしまう。
そこは力だけが支配する有無を言わせぬ世界である。
また常に死と隣り合わせとなった世界でもある。
そうした異常さのなかから殺戮兵器としての兵士がつぎつぎと生み出されていくことになる。

そんなふたつの厳しい現実を突きつけられることで、戦争の不条理さや、人間が抱え持つどうしようもない残虐性が激しく炙り出されていく。
そしてこのような極限状況のなか、人はどのように行動し生きていけばいいのか、深く考えさせられることになるのである。

監督は2011年に「アーチスト」でアカデミー賞5部門を獲得したミシェル・アザナヴィシウス。
エンターテインメント性たっぷりの「アーチスト」から一転、今回はシリアスな人間ドラマである。
これは彼がどうしても描きたいと願い続けた作品なのだという。
おそらくそれは彼がリトアニア系ユダヤ人家庭で育ったことと無縁ではあるまい。
そう考えるとこれは歴史の大きなうねりの中で、撮るべくして撮られた映画ということになるのかもしれない。
こうした悲劇は、これからも連綿と続いていくのだということを示唆しているようにも思える。
映画の中で全く無関係のように思われていたふたつのドラマが、最後に交差するのを見ていると、なおさらそう思えてならない。
だがそんな絶望のなかでも少年が声を取り戻し、最後に笑顔を見せることで、そこに残されたわずかな希望や人間の優しさを見ることができるのである。


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映画「紙屋悦子の青春」

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一昨日BSプレミアムで観た映画。
黒木和雄監督の戦争レクイエム3部作「明日 TOMORROW」、「美しい夏キリシマ」、「父と暮せば」に続く戦争映画。
1軒の家の中だけで物語が展開するというのは、「父と暮せば」と同じ。
まるで舞台劇を観ているように感じるのは、いずれも戯曲が原作だからだろう。
またこれら戦争もの連作は、すべて戦闘場面が出てこない戦争映画である。
戦時中の市井の人々の暮しが、静かに描かれるだけである。
しかしそれでいて戦争の悲惨さや愚かさが、確実に伝わってくる。
戦場で銃で戦うだけが戦争ではない。
銃後の生活のなかにも、戦争の厳しい影が確実に現れてくるのだ。
そしてその悲しみのなかに、戦場とはまた違った戦争の現実があるのだとするのが黒木監督の一貫した姿勢である。
それは戦時下に少年時代を過ごし、勤労動員先の空襲で、目の前にいた友人が爆撃を受けて死んだという体験を持っている黒木監督ならではの拘りといえよう。

それにしてもこれが遺作となったのは、いかにも戦争もの連作を撮り続けた黒木監督らしい。
いささか地味ながらも、ところどころにユーモアがあり、飽きずに観ることができた。


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映画「灼熱の魂」

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Facebookで知り合った劇作家・山崎哲氏が傑作だと絶賛しているのを読み、いつか観なければ思っていたが、それでも積極的に探すというところまではいかなかった。
ところがレンタルショップで物色していた先日、たまたまこれを見つけたのである。
さっそく借りて観ることにした。

なるほど山崎氏が絶賛している通りの重い内容の傑作であった。
重い、限りなく重い。
とにかく生半可な気持ちで観ることはできない。
憎しみと暴力の果てしない連鎖のなかで、これは起こるべくして起きたことなのかもしれないが、それにしても何と悲惨で皮肉な話であることか。
そしてこういう悲劇が決して非現実的ではないと思わせる説得力を、この映画は持っている。

中東におけるキリスト教徒とイスラム教徒の宗教対立の根の深さは想像を絶するものがある。
単に宗教の違いというだけではなく、それを背景とした政治的、経済的、そして民族的対立、様々な要素が複雑に絡み合った根の深さである。
そこに生まれる憎しみと暴力、そして報復の連鎖。
そしてその紛争の中で子供たちまでもが、兵士として仕立てられていくという非情な現実。
そうしたことすべてが引き金となって、起きた悲劇である。
まるでギリシャ悲劇を思わせるようなスケールの大きさと迫真力で迫ってくる。

こういう映画を観た後では、言葉の無力さを感じてしまう。
どう表現しようとこの映画の前では、どんな言葉も空しいものに感じてしまう。
それほどここで語られる現実は重い。

2010年のカナダ映画。
レバノン・ベイルート生まれでレバノン内戦を逃れカナダに亡命した劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲『焼け焦げるたましい(原題:Incendies、火事)』を原作に、ドゥニ・ヴィルヌーヴが脚色と監督を務めたレバノン内戦を下敷きにした映画である。
第83回アカデミー外国語映画賞にノミネートされている。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、先日観た「プリズナーズ」の監督でもある。
今後はこの監督から、目が離せなくなった。


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映画「永遠の0」

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話題の映画「永遠の0」を観てきた。
封切られてからすでにかなりの日数が経ってしまったが、(昨年12月末の封切)なかなか行く機会がないままに日にちだけが過ぎてしまった。
そしてそろそろ上映が終わろうかという今になって、ようやく映画館に足を運んだという次第である。

結論からいうと素晴らしい映画であった。
原作が良かっただけに、その良さが映画でどの程度再現されているだろうかと、いささか危惧する気持ちもあったが、まったくの杞憂であった。
原作に劣らず、いや部分的には原作を越えた良さで、間違いなく一級のエンターテインメントであった。

こういう戦争ものになると、戦闘場面などでは、チープな印象を持ってしまうことがよくある。
とくに飛行シーンなどには、その傾向が強いように思う。
そうした貧弱な場面を見せられると、それだけで引いてしまうことになるが、この映画はそうではなかった。
ゼロ戦の空中シーンなど、そのクオリティの高さに驚かされた。
まるで本物の戦闘機が飛び交っているような迫力であった。
まさに一級品である。
こうしたシーンがきっちりとリアルに再現されているからこそ、ドラマの部分にも素直に入り込んでいくことができたのである。
さすが「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズで、昭和の風景を見事に再現してみせた山崎貴監督だけのことはある。
その映像的なテクニックのうまさに引きずられながら、今回も「ALWAYS 三丁目の夕日」同様、何度も涙を誘われることになったのである。

また若手の俳優たちと、ベテラン俳優たちのアンサンブルの見事さにも唸らされた。
主人公である宮部久蔵を演じた岡田准一をはじめ、新井浩文、染谷将太、濱田岳らの若手俳優たちの溌剌とした演技、そして戦後を生き抜いたパイロットたちを演じた田中泯、橋爪功、平幹二朗、山本學、夏八木勲といった名優たちの重厚な演技、その見事なアンサンブルに、息を詰めて見入ってしまったのである。
そして144分を短く感じるほど映画に没頭してしまったのであった。
おそらく今年観る映画のなかでのベストの映画になることは間違いない。
そんな感想を持ちながら映画館を後にした。


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プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2018年)70歳です。
性別:男

還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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