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風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 日本映画

Tags: 小津安二郎  成瀬巳喜男  

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ふたりだけの名作映画上映会

古い日本映画を観直している。
きっかけは高峰秀子の自伝「わたしの渡世日記」である。
10年前、家を建てかえた際、本はほとんど処分してしまったが、映画関係の本だけは少し残しておいた。
そのなかにこの本があったのだが、家内から何かいい本はないかと尋ねられ、この本を薦めたところ、その面白さにすっかり嵌ってしまった。
そして読み終わった後、高峰秀子の映画を観たいと言い出したことから、古い映画を観ることにしたのである。

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まず最初に観たのは、「浮雲」と「女が階段を上る時」、そして「乱れる」と「流れる」、いずれも成瀬己喜男監督作品である。

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さらに木下恵介監督の「永遠の人」、野村芳太郎監督の「張り込み」、そして松山善三監督の「名もなく貧しく美しく」と続く。
そしてその後は高峰秀子の主演作からいったん離れて、同時代の名作へと移っていったのだが、レンタルで探すとなると観ることができる作品はどうしても限られてくる。
いちばん手に入れやすいのは小津作品である。
そこで小津作品を集中的に観ることにした。

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「彼岸花」、「秋刀魚の味」、「麦秋」、「早春」、「晩春」、「東京暮色」、「秋日和」、「浮草」。
さらに成瀬作品の「晩菊」を観た。

これらを休みの日には3本、普段の夜に1本といったように、次々と観続けた。
家内とふたりだけの名作映画上映会である。

これらの作品は、ほとんどが昭和30年代に作られたものばかり。
そこに映し出される風景や生活は、子供時代のもの。
当時のことが懐かしく思い出される。
そして忘れていた記憶や、新しい発見が、これらの映画を通して鮮やかに浮かび上がってきたのである。
観終わった後も、そうした話題で盛り上がり、話が尽きず、懐かしく楽しい時間を過ごすことになったのである。


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Tags: 成瀬巳喜男  

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映画「浮雲」

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昨日BSで放映された「浮雲」を観た。
観るのは、これで4、5回目になるのではないか。

原作は林芙美子、脚色は水木洋子、才能あふれるふたりの女性作家が生み出した悲劇を、成瀬巳喜男監督がこれ以上ない演出で描きあげている。
演じるのは高峰秀子と森雅之、演技とは思えないふたりのやりとりにクギづけになってしまう。
弱々しいような、それでいて時にふてぶてしいほどの逞しさや優しさを見せる、女の複雑な内面を演じる高峰秀子の演技は、もう見事というしかない。
対する森雅之演じる優柔不断で身勝手な男の狡さも、やり切れないほどのリアルさである。
執着と諦めが交互する女の哀しさ、自らの不甲斐なさを自覚しながらも、どうしようもできず、ただ自分勝手にふるまうしかない優柔不断な男のやるせなさ、それでも離れられないふたりの関係は、これはもう理屈を越えた男女の宿命としか言いようのないものである。
「ねえ、どこまで歩くのよ・・・・私達、行くところがないみたい」高峰の漏らすセリフに、胸が締め付けられる。
どこまでも寒々しい風景が続いていく。
そこには男女の愛憎を越えた、人間の生きる苦しみが漂っている。
そしてどこまでいっても救いの道は残されていない。

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小津安二郎がこれを見て、「オレには撮れない写真」と絶賛したのは、よく知られたエピソード。
まさに映画史に残る、名作中の名作である。
そのことを今回また改めて思い知らされた。


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「成瀬巳喜男」の映画

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NHK BS放送で成瀬巳喜男監督の映画が連続して放映されている。
毎日録画して見ているが、いずれも見ごたえがあり、成瀬映画の魅力をあらためて感じている。
放映されたのは「あにいもうと」(1953年)「妻の心」(1956年)「あらくれ」(1957年)「鰯雲」(1958年)「夜の流れ」(1960年、川島雄三との共同監督)の5本である。
これらはすべて1950年代に作られた作品で、この時代は日本映画の最盛期であり、同時に成瀬映画のもっとも充実した時代でもある。
彼の代表作のほとんどはこの時代に作られている。
その充実振りはこれら5本の映画を見るだけでもよく分かる。
とくに代表作「浮雲」(1955年)の直後に作られた「妻の心」、「あらくれ」、「鰯雲」は、名人芸ともいえる域に達している。

成瀬映画といえば「女性映画」の代名詞で語られるように、女性を主人公にした作品が特徴であるが、これらの映画も同様で、生活の中で女性たちが悪戦苦闘する様子を、きめ細かく描いている。
親子、夫婦、兄弟、姉妹といった、家庭内に起因する愛情の機微や争いを描くことで浮かび上がってくる庶民の哀歓こそが成瀬映画の最大の魅力である。
庶民の何気ない日常を細部にわたって丁寧に描くこと、そこに成瀬巳喜男の確かな職人技が発揮されていく。
なかでも生活を支える「お金」というモチーフが重要な要素として扱われるのも成瀬映画の大きな特徴のひとつである。
「妻の心」では家業の薬屋の営業不振をカバーするために喫茶店を開業しようとする。
妻は親友の兄の銀行員を頼って金策をするものの、失職した長男夫婦から金の無心をされて喫茶店開業がピンチに陥ってしまう。
「あらくれ」では主人公のお島は女中奉公や繕い物で小金を貯めて洋服屋を開業するものの、いちどは失敗、だがその失敗を糧に再度洋服屋を開業して成功する。
だがその成功にあぐらをかいた夫の裏切りに会い、自分ひとりで生きていくことを決意するというストーリーだが、「金」にからんだエピソードが繰り返し描かれる。
また「鰯雲」では東京近郊の農家の戦後の姿が描かれるが、ここでも長男の結婚や次男、三男の独立を巡って金の問題が重要なモチーフとなっている。
こうした「金」を巡っての争いや苦闘を描くことで庶民のリアルな生活が説得力をもって浮かび上がってくるのである。
こういった類の大変さ、苦労は日常生活の中で誰しもが、多かれ少なかれ体験していることである。だからこそ、そこから生まれる共感はより深刻なものであり、また切実であるといえるだろう。
そして主人公たちがそれらを克服してたどり着く和解や諦観のなかに、しみじみとした人生の味わいがより深く感じられることになるのである。

1967年まで映画を撮り続けた成瀬巳喜男監督の映画はリアルタイムでは1本も見ていない。
1967年といえば私が大学2年生のころである。
そのころに成瀬映画に出会っていたとしたら、おそらくこんなに深く共感することはなかったにちがいない。
どちらかといえば地味な部類に属する「女性映画」に、若い私が惹かれことはなかっただろう。
今こうして成瀬巳喜男監督の映画を見ることで、遅ればせながらその魅力の深さを発見しているわけである。
そしてその出会いの幸せを実感しているのである。

「マイ・シネマ館」成瀬巳喜男の映画

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Author:cooldaddy
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出身地:香川県
年齢:今年(2018年)70歳です。
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還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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末永くおつき合いください。

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