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風に吹かれて

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Category: 落語

Tags: 古今亭志ん朝  

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古今亭志ん朝 「二番せんじ」

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古今亭志ん朝 「二番せんじ」を聴く。
寒い冬の夜、大店の旦那衆が集まって、「火の用心」のための夜回りをするが、寒さのために早々と「番小屋」に戻り、隠し持ってきた酒で冷えた体を温めようという趣向。
そこへ見回りの同心がやってきて、という噺である。
酒好きな者にとっては、たまらない噺であり、寒い冬に聴くといちだんとその寒さが身に沁みる。
夜回りをする旦那衆が「火の用心」を謡いや清元の調子で流す場面や、獅子鍋をつつきながら酒を呑む場面が、この噺の一番の見どころであるが、ここでの志ん朝の微に入り細を穿った演技はまさに名人芸である。
その見事さについ頬も緩み、そしてほのぼのとした気持ちになってくる。
こうした何気ない日常のなかでの微妙な空気感を作り出すのが、芸の力なのであろう。
中野翠が「今夜も落語で眠りたい」のなかでこの噺を評して次のように書いている。

べつだんドラマチックでも何でもない。ちょいと昔の都市生活者たちの、ほほえましい人生の一断面。
 こんな何でもない設定を面白いと思って噺に仕立て、演じた人たちがいた。そしてまた、その面白味を正確に受けとめて楽しんだ人たちがいた。「二番せんじ」を聴くたび、日本人の笑いのセンスの繊細さを思わずにはいられない。


そういう噺なのである。


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古今亭志ん朝「文七元結」

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古今亭志ん朝の最高傑作といわれる「文七元結(ぶんしちもっとい)」を聴いた。
三遊亭圓朝作の代表的な人情噺で、80分近くもある噺だが、志ん朝のうまさに思わず聴き入ってしまい、80分という長丁場があっという間に過ぎてしまった。
まさに名人芸と呼ぶにふさわしい高座である。
中野翠が「今夜も落語で眠りたい」のなかで、「聴き終わった時は笑いと涙で顔がくしゃくしゃだった。」と書いているのが、よくわかる。
これぞ落語の真髄という一席なのである。

本所達磨横町の左官の長兵衛は腕はいいが、博打に入れあげてしまって、仕事もままならない。
借金はかさむし、食うにも困るような状態が続いている。
そんな窮状を見かねたひとり娘のお久は、長兵衛がかねてから出入りしている吉原の佐野槌に駆け込み、自分の身を売ることでその苦境を脱しようと考える。
佐野槌のおかみに呼び出され、事の次第を聞かされた長兵衛は、博打からきっぱりと足を洗うことを約束し、返済期限を過ぎるとお久に客をとらせるという条件で、涙ながらに五十両を借り受ける。

長兵衛が長屋に帰る途中、吾妻橋まで来ると商人風の若者が身投げをしようとしているのに出くわす。
訳を聞くと、集金の帰りに男に突き当たられて五十両を掏られたという。
その責任をとってどうしても死にたいという手代の文七に、さんざん迷ったあげくに長兵衛は五十両をたたきつけるようにしてやってしまう。
せっかく借りた大事な五十両を文七にくれてしまった長兵衛の底抜けの人の好さにあきれながらも、いったいこの先どうなっていくのだろうと大いに好奇心を掻き立てられる。
そしてこの後思わぬ展開を見せることになるのだが、最後は笑いと涙のなかで、これ以上はないカタルシスが味わえる。

とにかくこれで完全に志ん朝の落語に魅せられてしまった。
そしてしばらくは志ん朝落語を追っかけてみようという気持ちにさせられた。


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Tags: エッセイ・評論  古今亭志ん朝  

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三人噺 志ん生・馬生・志ん朝

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著者の美濃部美津子さんは、古今亭志ん生の長女、金原亭馬生と古今亭志ん朝のお姉さんです。
この本は彼女からの聞き書きによる志ん生一家の半生記です。
有名な「なめくじ長屋」での貧乏生活から、3人が亡くなるまでの貴重なエピソードが満載で、笑いあり、涙ありの内容に、落語好きのみならず、落語に興味のない人でも思いっきり楽しめる本です。
落語の世界に登場しそうな貧乏生活も、母親(志ん生のおかみさん)が内職で支え、それを著者が手助けをして、家族がお互いに助け合いながら凌いでいく様子は、まるで極上の落語を聞いているような面白さ。
「安普請の狭い家だろうが、蚊やなめくじがいようが、住んじゃうと何でもなくなっちゃうんですよ。ちっとも悲惨に思いませんでした」
天衣無縫の志ん生と、しっかり者のおかみさんの取り合わせは落語の世界そのもの。
おかみさんが志ん生と別れなかったのは、「この人は何もできないし、酒は飲む、博打はするでしょうがないけれども、芸だけは一生懸命やってっから、先行き必ず売れる」と思っていたからだそうです。

志ん生の面白いエピソードをひとつ。

あるとき、部屋から池をボーッと眺めてたお父さんが、志ん五(弟子)を呼んだんですって。
 「何ですか」って行ってみたら ―。
 「池の側んとこに、おまえ、鳩が止まってるだろ」
 「はぁ。珍しい色ですね、あの羽。何色っていうんですかね、あれは」
 「そんなこたぁ、どうでもいんだよ。俺、さっきっから見てんだけども、あすこから一時間も、動かねえんだよ。何考えてっかわかるか、おまえ」
 「鳩がですか? さあ、何考えてんでしょうね」
 「ひょっとすると、身投げだ」

でね、この話を志ん五さんが馬生にしたらしいんです。そしたら馬生が、
「他人はね、『お宅のお父さん、面白い人ですね』って言うけれども、家族の身になってみろよ。おまえ、あの寅さんて知ってるだろ。映画の寅さん。俺、あの寅さんの家族の気持ちがよぉくわかんだよ。本人はそりゃ、いいよ。好き勝手なことしてんだから。けど、家族は大変なんだ」


志ん生の天衣無縫さはともかく、馬生の複雑な心境は手に取るように分かります。
志ん生の尻拭いをしたり、父親の代わりに家族を支えたりといった、それなりの苦労を積んできたようです。
馬生の落語がじっくりとした味わいがあるのも、こういった経験の積み重ねがあったからこそなのでしょうね。
いっぽう志ん朝は遅れて生まれた末っ子ということで、そうとうに可愛がられたようで、それが志ん朝の明るく華やかな芸質を作り上げているようです。
著者とは20以上も歳が離れていることもあって、母親代わりで志ん朝を育てたそうです。
その母親代わりのお姉さんのために、志ん朝は家を建て直した際に、お姉さん用の部屋も用意したそうです。
親孝行(姉孝行)のつもりだったのでしょうね。

最後に馬生と志ん朝の芸について著者が話した部分を書き抜いておきます。

 馬生は、後年のお父さんの芸風を見てて、自分にはあれだけの華とか自由奔放さはないとわかっていた。だから志ん生とは違った方向を目指して、真面目にキッチリとした噺をしていく道を選んだんだと思います。たとえていうならば、文楽さんや円生さん、彦六さんのような系統なんです。
 ---馬生元来の性格もあったんでしょうけど、耐え忍びつつ穏やかに毎日を生きる人たちの噺ってのが肌にあってたんでしょうね。だから馬生のお客さんも「ジックリと聞きたい」って人が、ちゃんとついてたんですよ。パッと盛り上がるという人気じゃなかったけれど、じわじわと広がっていくって感じでした。
 もっと長生きできていたら芸に渋みが増して、お父さんの噺とはまた違った味が出たと思いますねえ。

 志ん朝の場合は、明るくて派手なしゃべり口調はお父さんの系統ですよ。志ん朝の芸風を「完璧な文楽型を目指した」と言ってる人がいるらしいんですが、あたしはちょっと違うんじゃないかと思っているんです。確かに噺としては完璧でしたが、その日の気分によってくすぐりの入れ方が違ったり、いい加減というかフラ(持って産まれた個性や味)のいいところはお父さんと同し。志ん朝は文楽さん的なキッチリとした部分と、お父さんの雰囲気を混ぜるつもりでいたんじゃないでしょうか。


著者は母親を含めて4人とも見送ったのですが、それぞれの臨終の場面は読んでいて胸に迫るものがありました。

これを書いているうちに、三人の落語が無性に聴きたくなってしまいました。

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古今亭志ん朝「火焔太鼓」

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テレビBS-iの「落語研究会」という番組で、古今亭志ん朝の「火焔太鼓」が放送された。
この番組は毎月第三土曜日の深夜にTBSで放送されたものの再放送である。
偶然チャンネルを回して知った番組で、ラッキーなことに古今亭志ん朝の「火焔太鼓」を見ることができた。
「火焔太鼓」は父親であり師匠でもある五代目古今亭志ん生が得意とした演目で、それに志ん朝流の工夫を加えて演じた、貴重な一席である。
解説によれば、昭和48(1973)年、志ん朝35歳のとき(志ん生が亡くなった年)の収録とのことだ。
若さあふれるスピード感と切れのよさに魅了される。
以前はそのスピード感が時に忙しく聞こえて負担に感じたこともあったが、今聞くとやはり魅力にあふれた話しぶりだ。
彼の実兄である10代目金原亭馬生(初代古今亭志ん朝)のゆったりとした噺のほうが私には好みだったのだが、あらためて聞くと馬生にはない華やかさ、スター性を感じる。
品のよさ、自然とにじみ出る色気は天性のものであろう。
こうやって見ていると63歳という若さで亡くなったことがほんとうに惜しまれてならない。
(ちなみに馬生も54歳という若死にである。)
かつて立川談志がその著「現代落語論」で、「いずれ、オレは小さんに、円楽は円生に、志ん朝は志ん生になるべき」と書いたが、いづれも実現することはなかった。
が、もし実現していれば今の落語界はどうなっていただろうと、ふとそんなことを考えた。

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年齢:今年(2018年)70歳です。
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還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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