風に吹かれて

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Tags: 五木寛之  エッセイ・評論  

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五木寛之「新老人の思想」

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先日、高齢者を65歳から75歳に引き上げるという発表が「日本老年学会」によってなされたが、これは元気な高齢者が増えたことによるもの。
今や4人に1人が65歳以上という超高齢化社会になったのである。
有史以来、初の時代の到来である。
そうしたなか人はどう老い、どう生きて行けばいいのかが問われるようになってきた。
それについては様々な著書が出版され、様々な提言がなされている。
この本もそうしたもののひとつである。

著者の五木寛之氏は1932年生まれ。
この本が出版されたのが2013年だから、その時点で81歳になる。
題名に「思想」とあるが、それほど大上段に構えたものではなく、その年齢を迎えての老いに関する様々な雑感を書き綴ったもの。
なるほどこういう考え方もあるのかと参考になるものや、日頃何となく考えていることをうまく纏めてくれたものもあり、興味は尽きない。
そうした経緯については、「あとがきにかえて」にまとめているので、それを書いておく。

< ここに集めた文章は、『下山の思想』とおなじく、日々、「日刊ゲンダイ」に書きつづったものから選んだ提言である。
 私自身が超高齢者の仲間に加わって、はじめて見えてきた世界があった。それは時代の変わり目に生きている、という実感である。
 すべての人々は、いずれ老いる。それだけではない。老いてなお世を去ることなく、数十年を生きなければならない。現在、青年期、壮年期に属する人びとも、あっというまに老年に達する。高齢者はもちろん、誰もが若いうちからその覚悟で生きる必要があるのだ。
 老人は、すでにある層ではない。それは他の世代と利害を異にする「階級」である、と私は思うようになった。
 「階級」は、いやおうなく対立する。他の「階級」におぶさって生きていこうなどという甘い考えは、もう通用しないだろう。私たちは可能な限り自立し、相互扶助をし、他の「階級」の好意に甘えておぶさるべきではない。
 そんな自戒をこめて書きつづった文章を集めて、『新老人の思想』というタイトルをつけた。
 これは私自身の悲鳴であり、またマニフェストでもある。「おれの墓場はおいらがさがす」などと若いころにうたった世代の人間として、その意地だけはつらぬきたいと思う。
 (中略)
 「起て、老いたる者よ」と、昔のメロディーにのせて口ずさむ今日この頃である。>

考えてみれば今年は60代最後の年になる。
そうした節目の年を迎えるに当たり、この本を読んだことは最良の選択であったように思う。
この本にも書いているように、これから歩き続ける老いの日々を悲観しすぎるのでも、楽観しすぎるのでもなく、ナチュラル・エイジングと捉えて生きていこうと思ったのである。


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五木寛之「杖ことば」

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今や小説家というよりも、現代の蓮如ともいうべき伝道師、五木寛之の本である。

「杖ことば」という言葉は、初めて聞いた言葉である。
この本で初めて知ったが、その意味を「まえがき」では次のように書いている。
紹介してみることにする。
次のようなものである。

< あるとき、「杖ことば」という言い方を耳にしました。
 ともすれば、しゃがみ込みたくなるようなとき、人生の苦難の旅路を共に歩き、その一歩一歩を杖となってささえてくれる言葉をさすのだといいます。
 人間は言葉によって傷つき、また言葉によって癒され、救われることはもはや当たり前のことでしょう。
 ことに日本人は昔から、言霊(ことだま)といって、言葉には霊が宿り、特別な能力があると信じてきました。
 日本だけではなく、東洋の宗教やヨガの行者は、神仏への祈りや讃歌をマントラという短い真言にこめて唱えてきました。
 キリスト教文化では、言葉をロゴスといい、新約聖書の中で、「はじめに御言葉があった。御言葉は神とともにあった。御言葉は神であった。」と書かれています。
 洋の東西を問わず、言葉は単なる言語の働きを超えた力ある実体と考えられていたようです。
 杖ことばとは、そのような霊力ある言葉が杖の形に変化して、倒れそうな人間をささえる、そういうことなのではないかと思います。
 私自身、もう駄目だと思うときに、いくつかの言葉によって、ささえられて、今日まで生き延びてきました。崩れ落ちそうな自分、もう諦めてしまいそうな自分をささえ、再び立ち上がらせ、もう一歩進んでみようかという気にさせてくれるのが、杖ことばなのです。
 それは、人生、かくあるべきだといった、大上段にかまえた箴言、金言ではなく、もっと、もっと、さりげない言葉、素朴な言葉のような気がします。
 日々の暮らしの中で、どうにもこうにも行き詰まり、立ち止まってしまったとき、その言葉を思い出し、固まった心身をほぐしてくれるようなもの。
 例えば、長い連載小説を抱えているとき、どうしても、アイデアがうかんでこないで、もう投げ出してしまいたいような衝動に駆られることがあります。
 そんなとき、ふと心の中で、響いてくる言葉があります。
「継続は力なり」
 そのことわざに妙に納得させられるのです。
 そうか、継続は力なりか!
 不思議なことに、その言葉がひとつのてことなって、そっと背中を押してくれるのです。そして、もう一歩を押し出してくれるのです。
 重い荷物を背負って、山を登らなくてはならないとき、ヨッコラショと、自分自身に掛け声をかけて、立ち上がる。そのヨッコラショ、に当たるのが、杖ことばなのではないでしょうか。
 ここに紹介する言葉は、みんな、私が日々の暮らしの中で、つらいなと感じるときに、思わず口をついて出る、ヨッコラショなのです。
 ブッダは死の床で、うろたえ、絶望する弟子たちに、自分が亡くなった後は、これまで、自分が教えた法を自分の中にしっかり根づかせ、それをよりどころにして、他人に頼らずしっかりと生きなさいと諭しました。それが自燈明(じとうみょう)、法燈明(ほうとうみょう)という教えとなって、伝わっています。
「自分をよりどころにせよ、法をよりどころにせよ」というブッダの教えを生きるためには、ともすれば崩れそうになる自分をささえる杖ことばが必要なのです。
「転ばぬ先の杖」ということわざがありますが、このときの杖とは、先人たちが、生活の中で得た智慧の言葉なのかもしれません。
 人生の折節で、私をささえてくれたのは、古くからのことわざや格言の類から、法然、親鸞、蓮如と続く浄土系の宗教者の言葉、キリスト教の聖書や西洋の哲学者の言葉まで、いろいろあります。ここに紹介したのは、ほんの一部です。
 このようにして、私は難儀な時をのりこえてきました。これからも、杖ことばによってささえられて生きていくことでしょう。そのときどんな杖ことばと出会えるか、年がいもなく、少しわくわくしています。 >

こうした考えから書かれた杖ことばの数々。
それを著者の体験を交えながら、独特な視点から解釈を加えていく。
時にその言葉が本来持つ意味から逸脱することもあるが、それでいて思わず納得してしまうところは、やはり五木寛之ならでは。
説得力ある文章には、いつもながら頷いてしまう。
決して押しつけがましくなく、声高に主張するわけでもない。
平易に優しく語りかけてくるので、その考えが素直に伝わってくる。
やはり彼は稀有な現代の伝道者なのである。

採り上げられた言葉は次のようなもの。
参考のため書いておく。

第1章 人生に迷ったときの杖ことば(転ばぬ先の杖/ 案ずるより産むが易し/ 牛に引かれて善光寺参り/ 我は濁れる水に宿らん/ 吉日良辰を選ばず/ 禍福はあざなえる縄のごとし)

第2章 人間関係をささえる杖ことば(親しき仲にも礼儀あり/ 朱に交われば朱くなる/ 十人十色/ 物言えば唇寒し秋の風/ 子孫のために美田を残さず/ 巧言令色鮮し仁/ 人に恩を与えることは、じつに危険なことである/ 笑う門には福来る)

第3章 よりよい日々をひらく杖ことば(天が下に新しきものなし/ 一寸先は闇/ 風邪は万病の元/ 病は気から/ 積善の家に必ず余慶あり/ 物言わぬは腹くくるるのわざ/ 世間虚仮 唯仏是真/ 過ぎたるはなお及ばざるが如し)

第4章 苦難をのりこえる杖ことば(天のまさに大任をこの人に降さんとするや、必ず先づその心志を苦しめ、その筋骨を労せしむ/ 逃げるが勝ち/ 復讐するは我にあり/ 人事をつくして天命を待つ/ 自然法爾(じねんほうに)/ 他力本願/ 善人なおもて往生をとぐ いわんや悪人をや)

第5章 老いをささえる杖ことば(朝には紅顔ありて夕には白骨となれる身なり/ 天上天下唯我独尊/ ナーム・アミータ/ 君はいたるところで死を待ちうけよ/ わが計らいにあらず/ 罪業深重(ざいごうじんじゅう)のわれら/ われあり、ゆえにわれ求む)



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五木寛之「親鸞」上巻、無料公開中

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五木寛之著「親鸞」の上巻が今ネット上で全文公開されている。
6月11日までの期間限定ではあるが、昨年12月に刊行されたばかりのベストセラーが無料で読めるというのは、画期的なことである。
著者の五木寛之は「一人でも多くの読者に読んでもらい、若い世代が書店に足を運んでくれるきっかけとなれば、これほどうれしいことはない。いずれ時がくれば、下巻も公開したい」とコメントしている。
さっそくアクセスして読んでみたが、面白さに一気にぜんぶ読んでしまった。
続いて下巻も読んでみたいと思ったが、はたして本を買うべきか、それともネット公開を期待して待つべきか、迷うところである。
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五木寛之「生きる言葉」から

五木寛之の「生きる言葉」という本を読んでいる。
これは石原慎太郎、玄侑宗久、梁石日などといった人たちとの対談集だが、そのなかで五木寛之が言った次のような言葉が印象に残ったので、書いておく。


フランクルの『夜と霧』という本や、アウシュヴィッツで生き抜いてきた人のレポートを見ると、そういうことをしょっちゅう感じる人が、最後まで生き延びたと書いてあるんだ。
体力のある人とか、強い信念をもっている人とか、信仰をもった人が生き延びるだろうと思われるけれども、違う。実は、水たまりを見てそこに枯れ枝が映っていたりすると、あ、レンブラントの絵のようだと思ったり、向こうに夕日が沈んでいく、自分たちは死体を埋める作業をしている、そのなかで、ああ、なんてきれいな夕日だろうと言うと、本当だなと手を休めて一緒に見てくれる、そういう人が生き延びたと言っているんです。
だから、小さなことで人間は支えられていることが多くて、ひょっとしたら極限状態で人間を支えるものは、ちょっとしたことに感動するというか、いいなとふっと思うことではないか。そういう小さなことってすごく大事だ、と僕は思うんですね。



これと同じ内容のことを書いた城山三郎の言葉を、以前このブログにも書いた。
重複するが、書いておくことにした。
こういう「生きる言葉」、「生きるヒントになる言葉」は何遍読んでも心に残る。


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わが人生の歌語り

NHK「ラジオ深夜便」のなかで五木寛之が語った言葉。

五木 「ああ上野駅」というカラリと明るい勤労少年の歌があった。その対極にあるのがこの「昭和枯れすすき」で、日本の勤労者というのはこの二つの間を行ったり来たりしながら生きてきたんだと思います。

  こういう歌を口ずさむことで、その不満をいくぶんでも解消させるような気持ちもあったということでしょうか。

五木 そういうのはマイナス思考だと非難する人がいます。しかし本居宣長という江戸時代の国学者が、こういう意味のことを書いているのです。
 悲しいときには悲しいとつぶやけ、声に出して言え、悲しいと人にも語れ。悲しいというその声が、ひとつの歌になる。悲しみを歌に詠んで、大きな声で歌って、人がそれを聞いて「ああ、いい歌だね」と言ってくれれば、自分の悲しみはそこで客体化されて、そして乗り越えていくことができるんだと。

  つらい思いは、内に閉じ込めるなと。

五木 前向きに励ます「ああ上野駅」のような歌もあり、傷んだ心をなぐさめる「昭和枯れすすき」もある。これは仏教でいうと、<慈>と<悲>なんです。<慈>の心と<悲>の心、二つの心があって、片方が「がんばれ」と励まし、片方は「がんばらなくてもいいよ」という、「お前は十分に生きたんだよ」と慰める言葉の、両方ないとだめなんですね。


思わず納得してしまいました。


昭和枯れすすき


ああ上野駅


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プロフィール

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Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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