風に吹かれて

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映画「ハドソン川の奇跡」

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ニューヨーク、マンハッタン上空で、飛行不能に陥った旅客機が、ハドソン川に緊急着水するという事故が起きたのは、2009年1月のことである。
そうした大変な事故であったにも関わらず、ひとりの犠牲者も出すことがなったというニュースが全世界に流れた。
そのニュースを驚きと感動で受け止めたことはまだ記憶に新しい。
それを題材に映画化したのがこの作品である。

監督はクリント・イーストウッド。
「アメリカン・スナイパー」以来2年ぶりの監督作である。
主演はトム・ハンクス。
イーストウッド作品ではこれが初出演であるが、適役。
苦悩するヒーロー、サレンバーガー機長を見事に演じて、間違いなくこれは彼の代表作になる。

前作「アメリカン・スナイパー」もそうだが、イーストウッドの最近の映画には実話の映画化が多い。
「ジャージー・ボーイズ」はボーカル・グループ“ザ・フォー・シーズンズ”、「J・エドガー」はFBI初代長官ジョン・エドガー・フーバー、そして「インビクタス 負けざる者たち」は南アフリカ共和国ラグビーチームとネルソン・マンデラ大統領と、いずれの作品も実在の人物を題材にした物語。
そしてそのいずれの作品も主人公たちを単なるヒーローとして描くのではなく、等身大の人間として描いている。
そのスタンスはこの映画でも変わらず、次第に追い詰められていくサレンバーガー機長の葛藤や苦しみをけっして大げさではなく、抑制のきいた手法で描いており、イーストウッド監督の演出のさらなる円熟味を感じさせてくれる。

それにしても全世界から賞賛を浴びたこの事故の裏側に、これほどの事実があったということは初めて知った。
同時に多くの人命を預かるパイロットの仕事がいかに重責であるかということも。
それだけにどんな小さな過失もけっして許されてはならないわけで、そこでこの映画のようなスリリングなドラマが生まれることになる。
そしてその難題に立ち向かうサレンバーガー機長のプロ魂が、さらなる奇跡を呼び起こす。
題名にある「奇跡」にはそうした2重の意味がこめられているように思う。

上映時間は96分という短さ。
2時間を超える上映時間が当たり前で、3時間になる映画も珍しくない今、この短さはある意味驚きだ。
しかしその短さを感じさせない充実な内容に、長時間の映画を観るのと変わらない重量感があった。
時に感動の涙を流しながら眼をくぎ付けにされた、濃密な96分だった。


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映画「ジャージー・ボーイズ」

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クリント・イーストウッドは、音楽愛好家としてもよく知られている。
特にジャズに対する造詣が深く、それは仕事にも生かされている。
これまでにもジャズの巨匠チャーリー・パーカーをモデルにした映画「バード」を監督したり、自らの映画(「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」「父親たちの星条旗」)の音楽担当も行っている。
また中年の歌手を主人公にした映画「センチメンタル・アドベンチャー」では、監督・主演をし、自らギター、ピアノを弾き、歌も歌っている。
この映画で共演した息子カイル・イーストウッドは、後にミュージシャンとなって、父親の監督作品(「ルーキー」「硫黄島からの手紙」「グラン・トリノ」「インビクタス/負けざる者たち」)では音楽を担当している。
そんな音楽に縁の深いイーストウッドが監督したのが、映画「ジャージー・ボーイズ」である。
原作はトニー賞受賞のミュージカル。
1960年代に活躍したアメリカン・ポップスの人気グループ「フォー・シーズンズ」の光と影を描いた物語だ。
「フォー・シーズンズ」といえば、「シェリー」である。
独特のファルセットで歌う、あの懐かしのヒット曲だ。
歌うのはフランキー・ヴァリ、この映画では舞台同様ジョン・ロイド・ヤングが演じている。
てっきり吹き替えだと思ったが、実際に彼自身が歌っているそうだ。
しかも他のメンバーたちの歌も、全員吹き替えなしというから驚きだ。
彼らの歌うシーンを観ているだけでも値打ちがある。
さらにドラマの方も歌に負けない面白さ。
イタリア系の移民街で育った不良少年たちが、歌を武器に次第にのし上がり、人気者になっていく軽快なサクセスストーリー、そしてその後に訪れる挫折と再会。
ドラマとしても文句なしの一級品。
さすがはイーストウッド、手堅い職人技である。
若造たちに注がれるイーストウッドの眼差しが辛辣で暖かい。
そしてラストで見せてくれる、出演者全員によるダンス・シーン。
ここではフォーシーズンズの後見役であるマフィアのボスを演じたクリストファー・ウォーケンまでが、一緒になって踊って見せてくれる。
さすが若い頃ダンサーだっただけあって、動きが軽やかだ。
この大団円によって映画は最高に盛り上がって終わる。
音楽映画らしいハッピーな終わり方に拍手喝采である。

それにしても齢84にしてこんなにも楽しめる映画を作り出すとは。
老いてますます盛んなイーストウッドに乾杯である。





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映画「ヒアアフター」

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最初からいきなりのクライマックス。凄まじい迫力である。
そしてその後は静かに淡々と物語は進行して行く。
静と動、緩急のバランスが絶妙である。
さすがイーストウッド監督、見せ方を心得ている。
素晴らしいエンターテインメント、129分があっという間であった。

マット・デイモンが「インビクタス/負けざる者たち」に続いてのイーストウッド作品である。
出世作「グッド・ウィル・ハンティング」のウィル・ハンティングを彷彿させるような役柄だ。
こういう悩める男はマット・デイモンにはよく似合う。

「ヒアアフター」の意味は「来世」。
死後の世界をテーマにした映画ということで、果たしてイーストウッド監督がそんな世界を扱ってどんな映画を作ったのかといささか懐疑的だったが、けっして奇を衒ったオカルト的な映画ではなく、イーストウッド監督らしい深い人間ドラマであった。


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映画「インビクタス 負けざる者たち」

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ワールドカップサッカーが終わって2週間、その熱い記憶が冷めやらぬなか、映画「インビクタス 負けざる者たち」を観た。
ワールドカップを描いた映画だが、こちらはサッカーではなくラグビーのワールドカップが描かれている。
ラグビーにもワールドカップがあることをこの映画で初めて知った。
時代は1995年、今回のワールドカップサッカーと同じく南アフリカで開催されたラグビーのワールドカップが題材となっており、その実話をもとに作られている。
1994年、27年間投獄されていた反体制活動家ネルソン・マンデラが南アフリカ初の黒人大統領となった。
これによって南アフリカのアパルトヘイトは撤廃されたものの、白人と黒人との境界は容易に埋まりそうにない。
両者の対立はますます深刻化するばかりであった。
そうしたなか、ラグビーのワールドカップが南アフリカで開かれることになるが、マンデラ大統領はこれを国民の意識を変えるきっかけにしようと考え、弱小であった南アフリカ代表ラグビーチーム「スプリングボクス」(国内での愛称はボカ)の再建を決意する。
そしてチームキャプテンであるフランソワ・ピナールに協力を求める。

事実がもつ重みと制約を巧みにバランスをとりながら、見事な感動作に仕上げたのは、さすがクリント・イーストウッドだけのことはある。
スポーツのもつ力、まっすぐな願いのもつ力強さが世界を変えていく。
「変わろう」「ひとつの国になろう」という願いがラグビーというスポーツを通して実現されていく。
そのドラマチックな盛り上がりには、心底感動してしまった。
「ONE TEAM ONE COUNTRY」という標語にこめられた願いがダイレクトに伝わってくる。

この映画はネルソン・マンデラの自伝『自由への長い道』に基づいているが、この本が出版されたとき、「映画化されるとしたら大統領自身は、誰に演じてもらいたいか」という記者の質問に、大統領は「モーガン・フリーマン」と答えた。
それを伝え聞いたモーガン・フリーマンはマンデラ訪問を実現、自伝の映画化権も買い取った。
そして『許されざる者』、『ミリオンダラー・ベイビー』で共演後、急速に親しくなり、今や相棒とも呼べるような相手、クリント・イーストウッドに監督を依頼、映画化が実現した。
マンデラを演じたモーガン・フリーマンはこれ以上ないほどの適役、さらにフランソワ・ピナールを演じたマット・デイモンもそれに負けず劣らずの適役で、ともに第82回アカデミー賞ではモーガン・フリーマンが主演男優賞、マット・デイモンが助演男優賞にノミネートされている。

こういう映画はほんとうに理屈なしに楽しめる。


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映画「チェンジリング」

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クリント・イーストウッドの監督作品「チェンジリング」を観た。
1920年代後半から30年代のロサンゼルスを舞台にした物語。
ある少年の誘拐事件をきっかけに次第に露になっていく警察内部の不正や腐敗。
その犠牲となるのが、息子を誘拐された被害者の母親。
権力の前では、市民ひとりがいかに弱い立場であるか、権力に翻弄される母親の姿を通して描いていく前半には恐怖と戦慄をおぼえてしまった。
そして後半では一転して彼女による反撃が始まり、警察の不正、腐敗が暴き出されていく。
イーストウッドの反権力の姿勢が色濃く出た、力強い内容の作品である。
ぐいぐいと引き込まれてしまい、142分という長丁場ながら、あっという間に観終わってしまった。

息子を誘拐された母親を演じるアンジェリーナ・ジョリーが素晴らしい。
社会的に弱い立場の女性が過酷な運命に翻弄されるなかで、次第に力強い女性へと変化していく姿を健気に、そして逞しく演じている。
アカデミー主演女優賞にノミネートされたのが頷ける素晴らしい演技である。

最後に彼女の口から語られる「希望」というひと言が、この重苦しい映画の後味を爽やかなものにしている。


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プロフィール

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Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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