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風に吹かれて

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Category: 外国映画

Tags: 西部劇  クリント・イーストウッド  

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映画「許されざる者」

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西部劇という型にはまらない西部劇、異色の西部劇である。
テレビ映画「ローハイド」に始まり長年西部劇にこだわ続けてきたクリント・イーストウッドが、自身最後の西部劇として監督・製作・主演して撮った作品。

ここに登場する主人公ウィリアム・マニーは、イーストウッドがこれまで演じてきたようなヒーローではない。
かつては列車強盗や保安官殺しで名を馳せた無法者である。
しかしそんな彼が、愛する女性と出会って家庭をもち、銃を捨てて農夫となった。
そしてふたりの息子にも恵まれた。
だがそうした穏やかな生活も長くは続かず、3年前に妻は亡くなり、農業の収穫も少なく、今は貧困にあえいでいる。
そんな彼が、貧困から抜け出すために、再び銃を手にするというのが主なストーリーである。

しかし長年銃を持つことから離れていたため腕は落ち、狙った的に当てることができない。
さらにまともに馬を乗りこなすこともできない。
このあたりの不様で情けないイーストウッドの姿が微笑ましい。
そんな年老いたガンマンが、果たして賞金稼ぎのために荒くれ者たちと戦うことができるのか。
危うさを抱えたまま、相棒ネッド(モーガン・フリーマン)と経験の乏しい若者と連れ立って、目指す町へと乗り込んでゆく。
そこで待ち構えるのは、ジーン・ハックマン演じる保安官リトル・ビル。
正義のためにはどんなことをしても許されると考える人物である。
そんな独裁的で危険な保安官相手に、老ガンマンが戦いを挑んでゆく。
無謀とも思えるその戦いの顛末は、果たして如何に?

人間は正義と悪というふうに単純に色分けできるものではないとの認識のもとに、この映画は作られている。
絶対的な悪が存在しないと同時に、絶対的な善も存在しない。
人間のもつ多様性を勧善懲悪を常とする西部劇の中で描こうとした。
それはイーストウッドがこれまで関わって来た西部劇のなかで描かれてきた善と悪という単純な構造の世界とは異なるもの。
そうした構造をいちどぶっ壊し、再構築してみたのがこの映画である。
そこにイーストウッドの衰えることのない作家精神の輝きを見ることができる。

この作品はイーストウッドの映画作りの師となった2人の監督、セルジオ・レオーネとドン・シーゲルに捧げられている。


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映画「荒野の用心棒」

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1964年にイタリアで制作されたマカロニ・ウェスタン、監督はセルジオ・レオーネ、そして音楽はエンニオ・モリコーネ。

黒澤明の「用心棒」をベースに作られたイタリア版西部劇だが、黒澤明の許可を得ないままの映画化だったため、公開後盗作問題になる。
結局和解して問題は解決されるが、社会問題として大きく取り上げられたことから話題を呼び、異例のヒットとなる。
しかしそうした話題性だけでなく、本家のアメリカ版西部劇とは違った面白さが多くのファンを獲得、以後続々とイタリア版西部劇が作られることになった。
そしてその一大ブームとなったイタリア版西部劇を名づけて、マカロニ・ウェスタン(名づけ親は映画評論家の淀川長治)と呼ぶようになった。

この時イーストウッドが演じた「名無しの男」のキャラクターは、後に彼が演じることになるダーティーハリーを始めとした男たちのキャラクターに繋がっている。
すなわちガンさばきがうまく、皮肉屋で、苦虫を噛み潰したような表情をしたアウトロー。
外見はクールだが内には燃えるような熱いものを秘めた男。
その原型が、この「名無しの男」である。

そしてこの映画最大の見どころは、ラストの対決。
静まり返った町の外れで突然ダイナマイトが爆発、高く舞い上がった煙のなかから現れるイーストウッド。
そこに流れるエンニオ・モリコーネの口笛の曲。
息をのむような緊張感に満たされるなか、イーストウッドがたったひとりで5人の男に立ち向かってゆく。
しかもライフル対拳銃という不利な対決。
しかしそれをあっと驚く方法で逆転してしまう。
その爽快さ、意外性に拍手喝采である。

イーストウッドの出世作。
すべてはここから始まった。




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映画「ダーティハリー4」

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BSプレミアムで放映された「ダーティハリー4」を観た。
製作されたのは、1984年。
初めて観たのは2013年、続いて2016にもういちど、そして今回と、これで3回目になる。
ちなみにシリーズ第1作が作られたのが1971年だから、これは13年後の製作ということになる。
クリント・イーストウッド自らの監督作でもある。

今回扱う事件は男たちが急所を撃ち抜かれて次々と殺される連続殺人事件。
その裏には過去に行われた集団レイプ事件があり、その被害者の女性(ソンドラ・ロック)による加害者のゴロツキたちに対する復讐劇である。
目指す相手を探し当て、ひとりひとり血祭りにあげていく彼女の犯行と、忍び寄る危機にうろたえるゴロツキたち、さらにそれを追うキャラハン刑事の三つどもえの攻防戦が繰り広げられる。
そしてそこに例によってキャラハン刑事の、別な事件でのダーティーな捜査がいろいろと挟みこまれてゆく。
メインのストーリーはもちろん面白いが、脇道のこれらの事件のほうが、よりキャラハンらしさが出ていて、楽しめる。

さらに特筆すべきは、脇役としてブルドックが出演していること。
同僚の刑事からプレゼントされた犬で、キャラハンのいい相棒になってゆく。
以前観た「パターソン」のブルドックも愛すべき存在だったが、こちらのブルドックも負けていない。
いい芝居を見せてくれる。
なかなか憎い味付けである。


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映画「ハドソン川の奇跡」

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ニューヨーク、マンハッタン上空で、飛行不能に陥った旅客機が、ハドソン川に緊急着水するという事故が起きたのは、2009年1月のことである。
そうした大変な事故であったにも関わらず、ひとりの犠牲者も出すことがなったというニュースが全世界に流れた。
そのニュースを驚きと感動で受け止めたことはまだ記憶に新しい。
それを題材に映画化したのがこの作品である。

監督はクリント・イーストウッド。
「アメリカン・スナイパー」以来2年ぶりの監督作である。
主演はトム・ハンクス。
イーストウッド作品ではこれが初出演であるが、適役。
苦悩するヒーロー、サレンバーガー機長を見事に演じて、間違いなくこれは彼の代表作になる。

前作「アメリカン・スナイパー」もそうだが、イーストウッドの最近の映画には実話の映画化が多い。
「ジャージー・ボーイズ」はボーカル・グループ“ザ・フォー・シーズンズ”、「J・エドガー」はFBI初代長官ジョン・エドガー・フーバー、そして「インビクタス 負けざる者たち」は南アフリカ共和国ラグビーチームとネルソン・マンデラ大統領と、いずれの作品も実在の人物を題材にした物語。
そしてそのいずれの作品も主人公たちを単なるヒーローとして描くのではなく、等身大の人間として描いている。
そのスタンスはこの映画でも変わらず、次第に追い詰められていくサレンバーガー機長の葛藤や苦しみをけっして大げさではなく、抑制のきいた手法で描いており、イーストウッド監督の演出のさらなる円熟味を感じさせてくれる。

それにしても全世界から賞賛を浴びたこの事故の裏側に、これほどの事実があったということは初めて知った。
同時に多くの人命を預かるパイロットの仕事がいかに重責であるかということも。
それだけにどんな小さな過失もけっして許されてはならないわけで、そこでこの映画のようなスリリングなドラマが生まれることになる。
そしてその難題に立ち向かうサレンバーガー機長のプロ魂が、さらなる奇跡を呼び起こす。
題名にある「奇跡」にはそうした2重の意味がこめられているように思う。

上映時間は96分という短さ。
2時間を超える上映時間が当たり前で、3時間になる映画も珍しくない今、この短さはある意味驚きだ。
しかしその短さを感じさせない充実な内容に、長時間の映画を観るのと変わらない重量感があった。
時に感動の涙を流しながら眼をくぎ付けにされた、濃密な96分だった。


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映画「ジャージー・ボーイズ」

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クリント・イーストウッドは、音楽愛好家としてもよく知られている。
特にジャズに対する造詣が深く、それは仕事にも生かされている。
これまでにもジャズの巨匠チャーリー・パーカーをモデルにした映画「バード」を監督したり、自らの映画(「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」「父親たちの星条旗」)の音楽担当も行っている。
また中年の歌手を主人公にした映画「センチメンタル・アドベンチャー」では、監督・主演をし、自らギター、ピアノを弾き、歌も歌っている。
この映画で共演した息子カイル・イーストウッドは、後にミュージシャンとなって、父親の監督作品(「ルーキー」「硫黄島からの手紙」「グラン・トリノ」「インビクタス/負けざる者たち」)では音楽を担当している。
そんな音楽に縁の深いイーストウッドが監督したのが、映画「ジャージー・ボーイズ」である。
原作はトニー賞受賞のミュージカル。
1960年代に活躍したアメリカン・ポップスの人気グループ「フォー・シーズンズ」の光と影を描いた物語だ。
「フォー・シーズンズ」といえば、「シェリー」である。
独特のファルセットで歌う、あの懐かしのヒット曲だ。
歌うのはフランキー・ヴァリ、この映画では舞台同様ジョン・ロイド・ヤングが演じている。
てっきり吹き替えだと思ったが、実際に彼自身が歌っているそうだ。
しかも他のメンバーたちの歌も、全員吹き替えなしというから驚きだ。
彼らの歌うシーンを観ているだけでも値打ちがある。
さらにドラマの方も歌に負けない面白さ。
イタリア系の移民街で育った不良少年たちが、歌を武器に次第にのし上がり、人気者になっていく軽快なサクセスストーリー、そしてその後に訪れる挫折と再会。
ドラマとしても文句なしの一級品。
さすがはイーストウッド、手堅い職人技である。
若造たちに注がれるイーストウッドの眼差しが辛辣で暖かい。
そしてラストで見せてくれる、出演者全員によるダンス・シーン。
ここではフォーシーズンズの後見役であるマフィアのボスを演じたクリストファー・ウォーケンまでが、一緒になって踊って見せてくれる。
さすが若い頃ダンサーだっただけあって、動きが軽やかだ。
この大団円によって映画は最高に盛り上がって終わる。
音楽映画らしいハッピーな終わり方に拍手喝采である。

それにしても齢84にしてこんなにも楽しめる映画を作り出すとは。
老いてますます盛んなイーストウッドに乾杯である。





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Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2018年)70歳です。
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還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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