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風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 外国映画

Tags: ウディ・アレン  

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映画「女と男の観覧車」

wonder-wheel.jpg

原題は「WONDER WHEEL」。
コニーアイランドにある観覧車の名前である。
回り続ける観覧車は一見華やかで楽しげだが、結局は同じところを回るだけで、どこか別な場所に行けるわけではない。
それをこの映画のヒロインの悲喜劇の象徴として使っている。

舞台は50年代のコニーアイランド。
そこで働くウエイトレスが主人公。
駆け出し女優時代に、ドラマーだった男と結婚をしたが、舞台の共演者と不倫、それが原因で夫は自殺をしたという過去がある。
そして今はコニーアイランドの回転木馬の管理をしている男に拾われて再婚、遊園地のレストランでウエイトレスをしながら前夫との間に出来た息子の3人で暮らしている。
だが、息子は火遊びの常習犯で手を焼いており、夫は稼ぎがなく貧乏から抜け出すことができない。
八方ふさがりの彼女だが、ある日ビーチの若い監視員と不倫関係になる。
そこに夫の前妻の娘が、ギャングの夫から逃げてくる。
そしてその娘がヒロインの不倫相手と恋に落ちたことで、絡んだ糸がどんどん複雑に縺れていくことになる。
いかにもウディ・アレンらしい展開である。

ヒロインを演じるのはケイト・ウィンスレット。
「タイタニック」のヒロインが、ここではくたびれた中年女性を演じている。
しかもかつては女優を目指していたという設定なのだから、それだけでこのキャスティングに、ウディ・アレンの皮肉な目がこめられているのを感じてしまう。
「私はウェイトレスという役を演じているだけ。」という妄想を抱くヒロインは、不倫相手とともに八方ふさがりの生活から抜け出そうと甘い夢を見ている。
だが事はそう簡単には運ばない。
目論見はことごとく外れ、それにつてれてヒロインの情緒はますます混乱、追いつめられていく。
そのヒステリックな様は、まさに「ブルージャスミン」でケイト・ブランシェットが演じたものと対をなす。
幸せを手に入れたと思っていたのは一時の幻想でしかなく、そんなものはいつまでも続くものではない。
あっという間に手から滑り落ちて、どこかへ行ってしまう。
一発逆転なんて、ただの夢物語にすぎない。
結局は観覧車のように元の場所に戻ってくるしかない。
それが人生さ、というウディ・アレンのシニカルで突き放した呟きが聞こえてくる。


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映画「カフェ・ソサイエティ Cafe Society」

cafe-society.jpg

ウディ・アレンの自画像。
主人公の青年ボビーを演じるジェシー・アイゼンバーグは、ウディ・アレンそのもの。
チビで猫背のユダヤ人。
それなのに、美人にはモテるし成功も手にする。
しかしそれでいてけっしてそこで満足することはなく、さらなるアバンチュールを求めてしまう。
これはもうどう見たって、ウディ・アレン以外にはありえない。
そんな人物を主人公にしたラブ・コメディである。

1930年代のハリウッドとニューヨークが舞台である
ハリウッドでは華やかな映画産業の舞台裏が、虚実入り混じって皮肉に描かれる。
誰もが知る有名俳優やプロデューサーそして監督たちの名前が数多く連発されるが、誰ひとり登場することはない。
そこは多くの有名作家たちを登場させた「ミッドナイト・イン・パリ」とは対照的。
その華やかな世界に憧れて、主人公ボビーがハリウッドにやってくる。
そしてそこで成功している叔父フィルの使い走りをやることで、次第にハリウッドの水に染まってゆく。
そのなかで秘書のヴォニーと恋に落ち、結婚間近というところまでいくものの、思わぬ障害が現れて破局を迎えることになる。
傷心のボニーはハリウッドでの生活を諦めて、ニューヨークに戻っていく。
そこでギャングとなって勢力を伸ばしている兄ベンが経営するナイトクラブを手伝うことになる。
そして次第に手腕を発揮、とうとう支配人となって成功を手にすることになる。
同時に洗練された美人のヴェロニカという女性と出会って結婚、公私ともに絶頂期にある彼の前に、昔の恋人ヴォニーが現れる。

こうした物語が洗練された音楽と美術、そしてウイットに富んだ会話の積み重ねで、いつも通りテンポよく描かれていく。
その軽やかなフットワークは、ますます円熟味を増したように感じられる。
いつの間にかアレン的世界に心地よく引き込まれていった。
そして気がつけば、おかしくてほろ苦い結末へと導かれていく。

人生はなかなかうまくいかないもの。
それでも人生は限りなく素晴らしい。
ここでもそんなウディ・アレンの切ない呟きが聞こえてくるのである。


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映画「ブルージャスミン」

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シニカルな笑いに誘われているうちに、ふと気づくとシリアスな悲劇の世界へと導かれている。
そんなウディ・アレンらしい苦い皮肉がたっぷりと散りばめられた映画である。

ニューヨークでセレブ生活を送っていた主人公のジャスミン。
そんな優雅な生活も、夫の仕事が詐欺として摘発されることで終わってしまう。
その結果転がり込んだのが、サンフランシスコに住む妹の家。
だが無一文になったにも関わらず、セレブ生活で身に付いた虚栄とプライドの高さは追い払うことはできない。
セレブ時代の優雅さが忘れられず、過去の幻影を追い求めるばかり。
質素な暮らしにはとても耐えることができない。
そんな思い通りにならない現実のなか、次第に精神の破綻を兆すようになっていく。
そして再起を図る絶好のチャンスとなるはずだったエリート外交官との結婚も、彼女のついた嘘が明かるみに出たことで、脆くも崩れ去ってしまう。
構造的には過去の作品「マッチポイント」と共通するものがあるが、こちらは「マッチポイント」とは違い、ボールは反対側に落ちてしまう。
ウディ・アレンの映画からはいつも、「人生は皮肉に満ちている」との声が聞こえてくる。

主人公ジャスミンを演じたケイト・ブランシェットの演技が秀逸だ。
虚言癖があり自分勝手、傍迷惑でこの上なく嫌味ではあるが、どこか人を惹きつける不思議な魅力を放つ女ジャスミンを、時に憎々しげに、時に可愛らしく演じて眼が離せない。
そして夢破れた後の壊れゆく様は、まさに鬼気迫るものがある。
アカデミー主演賞が納得の名演である。

ここ数年、ヨーロッパを舞台にした作品ばかりだったウッディ・アレンが、久しぶりに母国アメリカを舞台に撮った秀作。
78歳にして、まだまだこうした瑞々しい感覚の作品を創り出すことができるとは。
涸れることのない才能に改めて感服させられたのであった。


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映画「ミッドナイト・イン・パリ」

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憧れの有名人や歴史上の人物と知り合って、楽しく交流したいと妄想することがある。
だがそうした妄想も、だだの妄想で終わってしまうのが常だが、ウッディ・アレンはそんな妄想を映画の世界で実現させた。
それがこの映画である。

主人公はハリウッドで売れっ子の脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)、彼は小説家になることを夢見ている。
そして小説を執筆しながら、婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)と彼女の両親とともにパリで観光旅行をしている。
だがなかなか思うように書くことができない。
また婚約者イネズとの関係にも、微妙にズレが生じ始めている。
そんな彼がある夜、パリの街で道に迷い、1920年代のパリにタイムスリップしてしまう。
その時代は、彼が憧れてやまない輝ける時代、ゴールデン・エイジである。
そこで当時の文化人たちと出会い、様々な刺激を受けることになる。
いかにもウッディ・アレンらしいシャレた楽しい物語である。

この映画のみどころのひとつは、パリの街の美しさである。
とくに冒頭に流れる3分間以上に及ぶパリの街のさまざまな風景には思わずため息が出てしまう。
パリは街そのものが芸術だとウディ・アレンは言うが、まさにその通り、こんな街に佇めばウッディ・アレンでなくてもファンタスティックな夢を見てしまうのではないかと思わせるものがある。
たとえば見知らぬ街角を歩いている時に、そこでひょっこりと歴史上の人物と出会ってしまうのではないかといった想像を巡らせたことはないだろうか。
それが芸術そのもののようなパリの街であれば、なおさらのことである。
そんなロマンティックな夢をウッディ・アレンは映画によって実現させたのである。

1920年代の“狂乱の時代”に紛れ込んだ主人公ギルは、そこでF・スコット&ゼルダのフィッツジェラルド夫妻をはじめコール・ポーター、ヘミングウェイ、ピカソとその愛人アドリアナ、サルバドール・ダリ、ルイス・ブニュエル、そしてガートルード・スタインなどといった芸術家たちと親交を深めることになる。
そして小説執筆についてのさまざまな示唆を受けることになるが、その顛末や如何に。

実はこの映画のDVDを借りた夜、ひとりで観たが、感想は「可もなく不可もなく」といったところであった。
ただパリの風景があまりにも綺麗だったので、翌朝家内に見せようともういちど観始めたところ、前夜感じたのとはまた違った面白さに、そのまま最後まで観てしまったのである。
最初はただ筋を追うことだけに追われて、細部に目が届かなかったせいかもしれない。
とくにウッディ・アレンの映画は会話中心の映画ということで台詞が多く、しかもスピーディーで、それを追うことばかりに気を取られて、ディテールを見るのが疎かになってしまったのかもしれない。
しかし2度目は、余裕を持って観ることができたので、さらに深く入り込むことができたのである。
やはりウッディ・アレンの映画は面白い。
しかしこういうこともあるから評価というのは分らないものである。
いい経験をしたなと思っている。


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映画「ウディ・アレンの夢と犯罪」

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ウディ・アレンの映画は「それでも恋するバルセロナ」(2008年)が今ひとつピンとこなかったので、続くこちらも実はあまり期待はしていなかったのだが、(実際には「ウディ・アレンの夢と犯罪」が2007年製作で、先に作られているが)予想に反してなかなかの佳作であった。
話の筋はシンプルで、ロンドンに住むごくありふれた兄弟が、少しばかり身の丈を越えた野心を持ったばかりに、犯罪の道へと足を踏み入れてしまう悲喜劇を描いている。
野心家の兄をユアン・マクレガー、ギャンブル好きな弟をコリン・ファレルといった個性派のふたりが演じているが、そのコンビネーションがなかなか味があっておもしろい。
兄は偶然知り合った女優の卵にぞっこんで、金持ちを気取った手前、大金が必要である。
いっぽう弟は自動車修理工場で働く労働者で、ガールフレンドとのささやかな家庭を築くことを夢見ているものの、ギャンブル好きが高じて多額の借金を背負い込んでしまう。
そんな行き詰ったふたりの前に現れたのが、アメリカで事業に成功した伯父さん。
彼を投資事業に担ぎ出して大金を手にしようと相談を持ちかけるが、逆にふたりは抜き差しならない犯罪の道へと引き込まれてしまう。
伯父さんから発せられる悪魔のささやきに、逡巡しながらも結局はその話に乗ってしまうことになる。
そこから殺人を犯すまでの揺れ動く様子が、古典的なミステリーのスタイルを匂わせながら描かれていく。
「マッチポイント」同様の肌理の細かい描写に目が放せなくなる。
そして完全犯罪と思われた事件が意外な展開を見せていくことになる。
「人生は不条理でままならない。いつも皮肉に満ちている。」というウディ・アレン流の皮肉たっぷりなストーリーが巧妙に展開されていく。
いつものように独特のセリフの面白さを味わいながら、ハラハラ、ドキドキ感をたっぷりと味わった。

映画の冒頭、兄弟ふたりが手に入れるヨットの名前が「カサンドラズ・ドリーム(Cassandra's Dream)」、それが映画の原題にもなっている。
「カサンドラ」とはギリシャ神話に登場する、トロイアの王女の名前で、悲劇の予言者としても知られている。
その悲劇的な生涯から「不吉」「悲惨な結末」といった意味で使われることが多い。
そんな不吉な言葉をなぜヨットの名前にしたかといえば、弟のコリン・ファレルがドッグ・レースで勝った金でヨットを買ったことから、その犬の名前「カサンドラズ・ドリーム」にあやかったのである。
ギリシャ悲劇好きのウディ・アレンらしいところだが、ここにも彼一流の皮肉と諧謔の精神が表れている。

この映画は「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」に続くロンドン3部作の最終章ということになっているが、ニューヨーク派のウディ・アレンにとって、今やロンドンは彼の映画になくてはならない街になっている。
ファンとしては3部作といわずに、ニューヨークものに匹敵するくらいの数の映画をこれからも作り続けてほしいと願うところだ。
多作を旨とする彼のことだから、案外そんな希望も叶えてくれるかもしれない。


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プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2018年)70歳です。
性別:男

還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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