風に吹かれて

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Category: 外国映画

Tags: ウディ・アレン  

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映画「ブルージャスミン」

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シニカルな笑いに誘われているうちに、ふと気づくとシリアスな悲劇の世界へと導かれている。
そんなウディ・アレンらしい苦い皮肉がたっぷりと散りばめられた映画である。

ニューヨークでセレブ生活を送っていた主人公のジャスミン。
そんな優雅な生活も、夫の仕事が詐欺として摘発されることで終わってしまう。
その結果転がり込んだのが、サンフランシスコに住む妹の家。
だが無一文になったにも関わらず、セレブ生活で身に付いた虚栄とプライドの高さは追い払うことはできない。
セレブ時代の優雅さが忘れられず、過去の幻影を追い求めるばかり。
質素な暮らしにはとても耐えることができない。
そんな思い通りにならない現実のなか、次第に精神の破綻を兆すようになっていく。
そして再起を図る絶好のチャンスとなるはずだったエリート外交官との結婚も、彼女のついた嘘が明かるみに出たことで、脆くも崩れ去ってしまう。
構造的には過去の作品「マッチポイント」と共通するものがあるが、こちらは「マッチポイント」とは違い、ボールは反対側に落ちてしまう。
ウディ・アレンの映画からはいつも、「人生は皮肉に満ちている」との声が聞こえてくる。

主人公ジャスミンを演じたケイト・ブランシェットの演技が秀逸だ。
虚言癖があり自分勝手、傍迷惑でこの上なく嫌味ではあるが、どこか人を惹きつける不思議な魅力を放つ女ジャスミンを、時に憎々しげに、時に可愛らしく演じて眼が離せない。
そして夢破れた後の壊れゆく様は、まさに鬼気迫るものがある。
アカデミー主演賞が納得の名演である。

ここ数年、ヨーロッパを舞台にした作品ばかりだったウッディ・アレンが、久しぶりに母国アメリカを舞台に撮った秀作。
78歳にして、まだまだこうした瑞々しい感覚の作品を創り出すことができるとは。
涸れることのない才能に改めて感服させられたのであった。


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映画「ミッドナイト・イン・パリ」

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憧れの有名人や歴史上の人物と知り合って、楽しく交流したいと妄想することがある。
だがそうした妄想も、だだの妄想で終わってしまうのが常だが、ウッディ・アレンはそんな妄想を映画の世界で実現させた。
それがこの映画である。

主人公はハリウッドで売れっ子の脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)、彼は小説家になることを夢見ている。
そして小説を執筆しながら、婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)と彼女の両親とともにパリで観光旅行をしている。
だがなかなか思うように書くことができない。
また婚約者イネズとの関係にも、微妙にズレが生じ始めている。
そんな彼がある夜、パリの街で道に迷い、1920年代のパリにタイムスリップしてしまう。
その時代は、彼が憧れてやまない輝ける時代、ゴールデン・エイジである。
そこで当時の文化人たちと出会い、様々な刺激を受けることになる。
いかにもウッディ・アレンらしいシャレた楽しい物語である。

この映画のみどころのひとつは、パリの街の美しさである。
とくに冒頭に流れる3分間以上に及ぶパリの街のさまざまな風景には思わずため息が出てしまう。
パリは街そのものが芸術だとウディ・アレンは言うが、まさにその通り、こんな街に佇めばウッディ・アレンでなくてもファンタスティックな夢を見てしまうのではないかと思わせるものがある。
たとえば見知らぬ街角を歩いている時に、そこでひょっこりと歴史上の人物と出会ってしまうのではないかといった想像を巡らせたことはないだろうか。
それが芸術そのもののようなパリの街であれば、なおさらのことである。
そんなロマンティックな夢をウッディ・アレンは映画によって実現させたのである。

1920年代の“狂乱の時代”に紛れ込んだ主人公ギルは、そこでF・スコット&ゼルダのフィッツジェラルド夫妻をはじめコール・ポーター、ヘミングウェイ、ピカソとその愛人アドリアナ、サルバドール・ダリ、ルイス・ブニュエル、そしてガートルード・スタインなどといった芸術家たちと親交を深めることになる。
そして小説執筆についてのさまざまな示唆を受けることになるが、その顛末や如何に。

実はこの映画のDVDを借りた夜、ひとりで観たが、感想は「可もなく不可もなく」といったところであった。
ただパリの風景があまりにも綺麗だったので、翌朝家内に見せようともういちど観始めたところ、前夜感じたのとはまた違った面白さに、そのまま最後まで観てしまったのである。
最初はただ筋を追うことだけに追われて、細部に目が届かなかったせいかもしれない。
とくにウッディ・アレンの映画は会話中心の映画ということで台詞が多く、しかもスピーディーで、それを追うことばかりに気を取られて、ディテールを見るのが疎かになってしまったのかもしれない。
しかし2度目は、余裕を持って観ることができたので、さらに深く入り込むことができたのである。
やはりウッディ・アレンの映画は面白い。
しかしこういうこともあるから評価というのは分らないものである。
いい経験をしたなと思っている。


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映画「ウディ・アレンの夢と犯罪」

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ウディ・アレンの映画は「それでも恋するバルセロナ」(2008年)が今ひとつピンとこなかったので、続くこちらも実はあまり期待はしていなかったのだが、(実際には「ウディ・アレンの夢と犯罪」が2007年製作で、先に作られているが)予想に反してなかなかの佳作であった。
話の筋はシンプルで、ロンドンに住むごくありふれた兄弟が、少しばかり身の丈を越えた野心を持ったばかりに、犯罪の道へと足を踏み入れてしまう悲喜劇を描いている。
野心家の兄をユアン・マクレガー、ギャンブル好きな弟をコリン・ファレルといった個性派のふたりが演じているが、そのコンビネーションがなかなか味があっておもしろい。
兄は偶然知り合った女優の卵にぞっこんで、金持ちを気取った手前、大金が必要である。
いっぽう弟は自動車修理工場で働く労働者で、ガールフレンドとのささやかな家庭を築くことを夢見ているものの、ギャンブル好きが高じて多額の借金を背負い込んでしまう。
そんな行き詰ったふたりの前に現れたのが、アメリカで事業に成功した伯父さん。
彼を投資事業に担ぎ出して大金を手にしようと相談を持ちかけるが、逆にふたりは抜き差しならない犯罪の道へと引き込まれてしまう。
伯父さんから発せられる悪魔のささやきに、逡巡しながらも結局はその話に乗ってしまうことになる。
そこから殺人を犯すまでの揺れ動く様子が、古典的なミステリーのスタイルを匂わせながら描かれていく。
「マッチポイント」同様の肌理の細かい描写に目が放せなくなる。
そして完全犯罪と思われた事件が意外な展開を見せていくことになる。
「人生は不条理でままならない。いつも皮肉に満ちている。」というウディ・アレン流の皮肉たっぷりなストーリーが巧妙に展開されていく。
いつものように独特のセリフの面白さを味わいながら、ハラハラ、ドキドキ感をたっぷりと味わった。

映画の冒頭、兄弟ふたりが手に入れるヨットの名前が「カサンドラズ・ドリーム(Cassandra's Dream)」、それが映画の原題にもなっている。
「カサンドラ」とはギリシャ神話に登場する、トロイアの王女の名前で、悲劇の予言者としても知られている。
その悲劇的な生涯から「不吉」「悲惨な結末」といった意味で使われることが多い。
そんな不吉な言葉をなぜヨットの名前にしたかといえば、弟のコリン・ファレルがドッグ・レースで勝った金でヨットを買ったことから、その犬の名前「カサンドラズ・ドリーム」にあやかったのである。
ギリシャ悲劇好きのウディ・アレンらしいところだが、ここにも彼一流の皮肉と諧謔の精神が表れている。

この映画は「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」に続くロンドン3部作の最終章ということになっているが、ニューヨーク派のウディ・アレンにとって、今やロンドンは彼の映画になくてはならない街になっている。
ファンとしては3部作といわずに、ニューヨークものに匹敵するくらいの数の映画をこれからも作り続けてほしいと願うところだ。
多作を旨とする彼のことだから、案外そんな希望も叶えてくれるかもしれない。


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映画「マッチポイント」

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先日観た映画「奇跡のシンフォニー」でジョナサン・リース・マイヤーズのファンになった妻のリクエストに応えて、彼の主演作「マッチポイント」をレンタル、もういちどいっしょに観ることに。

監督はウッディ・アレン、彼の作品のほとんどはニューヨークを舞台にしているが、この作品ではニューヨークを離れ、ロンドンが舞台。
ウッディ版「罪と罰」といった内容のミステリーである。
貧しい家庭で育った野心家の青年が、上流階級の女性との結婚によってその野心を実現させるという内容で、「陽のあたる場所」「太陽がいっぱい」といった作品を連想させられる。
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だがその野心の実現が、女優の卵である女性(スカーレット・ヨハンソン)との浮気が原因で、次第に揺らぎ始める。
その顛末がウッディ・アレンらしい皮肉をこめたストーリーで重厚に描かれていく。
映画冒頭のテニスコートの画面にかぶさるモノローグ、「ネットに当たったボールが自分のコートに落ちるか、相手のコートに落ちるかで、勝敗が決まる・・・・」が重要な伏線となっているが、テニス好きのウッディ・アレンらしいアイデアだ。
なんとも皮肉な内容で、そこがいかにもウッディ・アレンらしい。
とにかくこの作品では、ウッディ・アレンは出演はせず、監督だけに専念して上質のミステリーに仕上げている。
ロンドンの美しい街並み、さりげなく壁にかけられた現代絵画の数々、そして全編に流れるオペラの歌声、そういったウッディ・アレン好みのセンスあるアイテムが散りばめられることで、ソフィストケイトされた香りが画面から漂ってくる。
映画のキャッチコピー「愛に負けるか、欲望に勝つか。それでも人生は、運が決定するー」に思わず納得。
2度目の観賞であるにもかかわらず、主人公ジョナサン・リース・マイヤーズの綱渡りの行動にハラハラ、ドキドキ、最後まで眼が離せなかった。
やはりいい映画は何回観てもいいものだ。

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プロフィール

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Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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