風に吹かれて

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Category: 読書

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小池真理子「無伴奏」

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小池真理子は東京生まれだが、父親の転勤によって各地を移り住み、1968年から1972年まで仙台で過ごしている。
彼女が高校生の時である。
時は全共闘運動など学生運動が盛んだった時代。
仙台でも学園紛争の嵐が吹き荒れていた。
安保闘争、全共闘運動、ベトナム戦争、デモ、フォークソング、アングラ文化。
政治の季節であり、そして芸術の季節でもあった。
そんな時代を振り返りながら書かれた小説である。

題名の「無伴奏」は、バロック音楽を専門に流す名曲喫茶の名前である。
実際に仙台にあった喫茶店で、小池真理子もよく通った店である。
そこで出会った大学生と女子高生の出会いと別れを描いたのが、この小説である。

青春のノスタルジーである。
しかし青春とはやっかいなもの。
純粋であるがゆえの独断と偏見、矛盾を抱えながらの短絡的な行動、不安と迷いに支配され、感情をコントロールできず、些細なことに思い悩む。
さらに時代は反権力を志向しており、その風潮をまともに受けた主人公の迷走が、痛々しい。

物語の主題よりも、あの時代がもっていた独特の雰囲気、その再現に惹かれた部分が大きい。
同じ時代を生きた者としての共感である。
甘さと苦さの入り交じった共感である。

女性版「ノルウェーの森」であり、あの時代の鎮魂歌でもある。


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Category: 読書

Tags: エッセイ・評論  五木寛之  

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五木寛之「孤独のすすめ」

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老いについて考え続ける作家、五木寛之の新刊本である。
ベストセラーなので図書館での予約待ちが多かったが、ようやく順番が回ってきた。

以前読んだ「下山の思想」、「林住期」、「新老人の思想」などと共通する内容だ。
人生100年時代を迎える今、<最後の季節を憂鬱に捉えるのではなく、おだやかに、ごく自然に現実を認め、愁いをしみじみと味わう。こうした境地は、まさに高齢者ならではの甘美な時間>ではないかと問う。
そしてそのためにはどうすればいいか。
人生をシフトダウンして生きること、すなわち下山の方法を、様々な角度から説いていく。
そこから「人生後半の生き方」についての、ささやかなヒントが浮かび上がってくる。
目新しくはないが、共感するところが多く、提言のひとつひとつに頷きながら読んでいった。
五木寛之が、老いの生活の中で実感した考えだけに、説得力がある。
これまで読んだ本の内容を思い出しながら読んだ。
おさらいをするような読書であった。

本の最後に、この本の内容を集約するような文章があったので、それを書いておく。

< 誰でも生きていれば、つらいことや、嫌なことは山ほどあります。しかしそういう記憶は、抽斗の中にしまったままにしておいたほうがいい。落ち込んでいる時、弱っている時は、なんともいえないバカバカしい話が逆に力になることがある。賢人の格言より、思想家の名言より、生活の中のどうでもいいような些細な記憶のほうが、案外自分を癒してくれるのです。
 しかも歳を重ねれば重ねるほど、長年生きた分、そうした思い出の数は増えていくはずです。いわば頭の中に、無限の宝の山を抱えているようなもの。そうした日常生活の中でちょっとした出会いや思い出を記憶のノートにしっかり記しておいて、ときどき引き出して”発掘””発見”するのは、下山の時期を豊かにするためのいい処方箋です。そのためにも、「回復力」をしっかり育てたいものです。「玄冬」のさ中にあって、ぼんやりとそんなことを思っているのです。>


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Category: 暮らし

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クルマの修理

2か月前、娘から軽自動車をもらった。
ダイハツのTANTOである。
今まで乗っていたレガシーよりも燃費がいいので、普段はこちらを使うようにしている。
そのTANTOのマフラーが、継ぎ目から折れてしまった。
経年劣化によるものだ。

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すぐにクルマ屋にと思ったが、自分で修理ができないかと考え、試しにホームセンターに行って何か使えるものはないかと探してみたところ、お誂え向きにマフラー補修材というのを見つけた。
これを使えば自分でもやれそうだと思い、さっそく試してみることにした。
ついでに耐熱用のアルミテープとパテも買った。

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雨が降るなか、作業を開始。
まずクルマの下に入るための、スペースの確保が必要だ。
30センチ以上の高さにしなければならない。
ジャッキを使ってクルマを持ち上げるが、一気に上げることはできない。
まず片側のタイヤの下に材木を敷く。
そしてもう一方にも同じく材木を敷く。
これを左右3回続けてようやくスペース確保ができた。

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クルマの下に入って作業を始める。
まずアルミテープで仮止め、その上から補修材をかぶせてボルトで締める。
そして最後にパテで隙間を埋めていく。

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悪戦苦闘だったが無事終了。
パテが固まるのを一日待ち、翌日エンジンをかけたところ、音は以前の状態に戻っていた。
ひと安心である。


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Category: 月別観た映画と読んだ本

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今月観た映画と読んだ本(2017年10月)

観た映画


young-adult-ny.jpg「ヤング・アダルト・ニューヨーク」(DVD)
2014年アメリカ 監督/脚本:ノア・バームバック 出演:ベン・スティラー/ナオミ・ワッツ/アダム・ドライバー/アマンダ・サイフリッド/チャールズ・グローディン/アダム・ホロヴィッツ


frances-ha.jpg「フランシス・ハ」(DVD)
2012年アメリカ 監督/脚本:ノア・バームバック 出演:グレタ・ガーウィグ/ミッキー・サムナー/アダム・ドライバー/マイケル・ゼゲン/パトリック・ヒューシンガー/マイケル・エスパー/シャーロット・ダンボワーズ/グレイス・ガマー


nagameniiheyaurimasu.jpg「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」(DVD)
2014年アメリカ 監督:リチャード・ロンクレイン 出演:モーガン・フリーマン/ダイアン・キートン/シンシア・ニクソン/クレア・ヴァン・ダー・ブーム/コーリー・ジャクソン/キャリー・プレストン/アリシア・レイナー/スターリング・ジェリンズ/ジョシュ・パイス


vincent.jpg「ヴィンセントが教えてくれたこと」(DVD)
2014年アメリカ 監督/脚本:セオドア・メルフィ 出演:ビル・マーレイ/メリッサ・マッカーシー/ナオミ・ワッツ/クリス・オダウド/テレンス・ハワード/ジェイデン・リーベラー/ネイト・コードリー


boxer.jpg「ボクサー」(DVD)
1977年 監督/脚本:寺山修司 出演:菅原文太/清水健太郎/春川ますみ/地引かずさ/伊佐山ひろ子/新高恵子/名和宏/大泉滉/蘭妖子/亀淵友香/小沢昭一/唐十郎


hukusei.jpg「複製された男」(DVD)
2013年カナダ=スペイン 監督:ドゥニ・ビルヌーブ 出演:ジェイク・ギレンホール/メラニー・ロラン/サラ・ガドン/イザベラ・ロッセリーニ/ジョシュ・ピース/ティム・ポスト/ケダー・ブラウン/ダリル・ディン/ミシャ・ハイステッド/メーガン・メイン



読んだ本


inochinosyasou-s.jpgいのちの車窓から(星野源 エッセイ)


ryu_201710310637456f9.jpg(東山彰良 現代小説)


yawarakanasai-s.jpg柔らかな犀の角―山崎努の読書日記(山崎努 書評)


daisukinahon.jpg「大好きな本 川上弘美書評集」(川上弘美 書評)


tatakausyohyo.jpg「闘う書評」(福田和也 書評)




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Tags: エッセイ・評論  

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山崎努「柔らかな犀の角―山崎努の読書日記」

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名優・山崎努がこれほどの読書家だったとは知らなかった。
さらにこれほどの名文家だったということも。
演技同様その文章には滋味があり、融通無碍、ときにユーモアが交じる。
本の感想に留まらず、それを踏み台にして自らの演技や人生について語っていく。
そのエピソードのすべてが面白く、含蓄ある文章に頷かされる。
永い俳優生活の中で培った見識の高さは並ではない。
読み終えてしまうのが、もったいない。
傍に置き、繰り返し読みたくなる本である。

こんなふうに書けたらいいなと思うが、とても無理。
人生経験が違う、人間の出来が違う。器が違う。
その差は如何ともしがたい。
とてもこうは書けない。
一芸に秀でた人間というのは、やはり何をやっても一流のことをやるものだとあらためて認識せられた。

ところで山崎努は、今度映画で彼が敬愛してやまない、画家・熊谷守一を演じるそうだ。
熊谷守一は97歳で逝去した伝説の画家で、「画壇の仙人」と呼ばれた人だ。
この本のなかでも藤森武写真集『獨樂 熊谷守一の世界』を採り上げて、その人となりを紹介しているが、30年以上も家の外に出ることなく、庭の動植物を描き続けたという異色の画家である。
山崎努にとっては、どうやら理想の人物のようだ。
その人を演じるという。
おそらくこの本同様、融通無碍な演技を見せてくれることだろう。
ぜひ観てみたい。今から期待に胸膨らませている。


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東山彰良「流」

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この小説を読んで最初に思ったことは、これは台湾版「けんかえれじい」ではないかということである。
「けんかえれじい」は、ケンカに明け暮れた旧姓高校生の姿を描いた青春映画の傑作で、日活時代の鈴木清順監督の代表作である。
高橋英樹演ずる旧姓高校生のケンカ行脚が、岡山と会津を舞台に痛快に描かれるが、こちらの小説は台湾が舞台である。
主人公は両親、祖父母、叔父、叔母たちと台北で暮らす葉秋生。
祖父母は中国山東省の出身で、中国での内戦を生き延び、国民党とともに台湾に渡って来た「外省人」である。
物語は国民党を率いた蒋介石が死んだ1975年から始まる。
この年、祖父の葉尊麟が何者か殺される。
犯人は見つからないが、怨恨による犯行ではないかと推測される。
祖父の葉尊麟には内戦時代、数多くの共産党の人間を殺したという過去がある。
その恨みをかっての犯行ではないかというのが、大方の見方だが、定かではない。
自分を可愛がってくれた祖父の死は、秋生の深い傷となって残るが、17歳の秋生にはどうすることもできず、ケンカに明け暮れる日々である。
以来10年の歳月をかけて事件の真相を追っていくことになるが、そのなかで内戦時代の祖父のことや家族の歴史を深く知るようになっていくのである。
ミステリーの要素はあるが、なによりもこれは秋生の成長を描いた青春物語であり、家族の姿を通して描いた台湾の現代史でもある。
そこから伝わってくる中国人たちの熱量の大きさには圧倒される。
それをしっかりと支えているのが作者の勢いと大胆さのある文章である。
白髪三千丈の中国の伝統と歴史を彷彿させるものがある。

ところでこの小説を読むうえで、手がかりになったのは、「童年往事 時の流れ」「恋恋風塵」や「悲情城市」といった侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の映画である。
侯孝賢もこの小説の主人公同様、「外省人」の子である。
そしてこれらの映画で、同じ時代を生きる家族の姿を描き続けている。
そうした映像を通して覚えた台湾のリアルな生活風景が、小説を読んでいるうちに浮かび上がり、大いに助けになった。
複雑な歴史的背景をもった台湾、そこで暮らす個性的な人々の生命力溢れる物語に、小説を読む醍醐味を深く味わった。

著者の東山彰良は台湾生まれの中国人である。
5歳まで台北市で過ごした後、日本に移住、両国を行き来しながら育った。
そんな経歴の持ち主である彼が、自身の家族をモデルに、自らのルーツを探ろうとしたのがこの小説である。
ところでこうした出自は、先日ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロとも似ている。
このような経歴を持った人間にとって、自らのアイデンティティを知るということは、何よりも大きなテーマなのであろう。
そんなことをふと思った。

第153回(2015年上半期)直木賞受賞作品。


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Category: 読書

Tags: エッセイ・評論  

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星野源「いのちの車窓から」

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星野源の存在を知ったのは、映画「箱入り息子の恋」を観てからだ。
3年前のことである。
映画は面白く、なかでも主演の星野源のことが強く印象に残った。
どこにでもいそうな、ネクラで目立たない若者を演じていたが、現実の彼もきっとそんな人間に違いないという説得力があった。
調べてみると俳優であり歌手であり、時にエッセイも書くというマルチタレントであった。
しかしその時点では、それほど知られた存在ではなく、ごく一部の人だけが知るマイナーな存在であった。
以来気になる人物となった。
そして数年を経た後、一気にブレイク、今では多くの人が知る人気のタレントである。
昨年はテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」に主演、主題歌「恋」や「恋ダンス」が大ヒット、「NHK 紅白歌合戦」にも2年連続で出演するなど、ここ数年の活躍は目覚ましい。
そんな旬な男である星野源の今を覗いてみたいと、この本を読んでみたのである。

星野源はこれまでに、5冊の著書を出しており、「いのちの車窓から」は6冊目になる。
これは雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載中のエッセイをまとめたもの。
「人生は旅だというが、確かにそんな気もする。自分の体を機関車に喩えるなら、この車窓は存外面白い。」というコンセプトのもとに書かれたエッセイ集で、星野源の今が率直で軽快な文章で綴られている。
人好きではあるが、人見知りでもあり、そして孤独を好む。
常に自然体でいることを心がけ、けっして無理はしない。
しかし好きなことには、精一杯打ち込み、集中する。
そんな日常が、独自の感性によって綴られていく。
時にそれは華やかな芸能界の裏側であったり、街で出会った何気ない風景であったりするが、なかでも印象に残ったのが、紅白初出場を果たした時のことを書いた「おめでとう」と題したエッセイである。
いったい何のことを書いているか分からないような出だしから始まり、次第にそれが紅白初出場のことだということに気づかされ、さらにNHKでの発表の舞台が近づくにしたがって、緊張した興奮が高まってくる。
巧みな描写は、まるで小説を読んでいるようで、その場に一緒にいるかのような臨場感があり、そして感動がある。

好奇心が強く、ポジティブな文章から滲み出てくるのは、自分に正直であろうとする率直さと人柄の良さである。
読んでいて心地いい。
そしてそれが爽やかで好感の持てる読後感を引き出す大きな要因にもなっている。
芸能界という特殊な世界で、自らを見失なわず、独自の立ち位置を着実に築き続けている星野源に、これからも注目していきたいと思わせられるエッセイ集であった。


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Category: 月別観た映画と読んだ本

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今月観た映画と読んだ本(2017年9月)

観た映画


fifth-wave.jpg「フィフス・ウェイブ」(DVD)
2016年アメリカ 監督:J・ブレイクソン 出演:クロエ・グレース・モレッツ/ニック・ロビンソン/ロン・リビングストン/マギー・シフ/アレックス・ロー/マリア・ベロ/マイカ・モンロー/リーヴ・シュレイバー


ex-machina.jpg「エクス・マキナ」(DVD)
2015年イギリス 監督/脚本:アレックス・ガーランド 出演:ドーナル・グリーソン/アリシア・ヴィキャンデル/オスカー・アイザック/ソノヤ・ミズノ


mousousatujin.jpg「教授のおかしな妄想殺人」(DVD)
2015年アメリカ 監督/脚本:ウディ・アレン 出演:ホアキン・フェニックス/エマ・ストーン/パーカー・ポージー/ジェイミー・ブラックリー/ベッツィ・アイデム/イーサン・フィリップス


ginnosaji.jpg「銀の匙 Silver Spoon」(DVD)
2013年 監督/脚本:吉田恵輔 出演:中島健人/広瀬アリス/市川知宏/黒木華/上島竜兵/吹石一恵/西田尚美/吹越満/哀川翔/竹内力/石橋蓮司/中村獅童


deadpool.jpg「レッド・プール」(DVD)
2016年アメリカ 監督:ティム・ミラー 出演:ライアン・レイノルズ/モリーナ・バッカリン/エド・スクライン/T.J.ミラー/ジーナ・カラーノ/ブリアナ・ヒルデブランド/レスリー・アガムズ/カラン・ソーニ/スタン・リー


itosikijinsei.jpg「愛しき人生のつくりかた」(DVD)
2015年フランス 監督/脚本:ジャン=ポール・ルーブ 出演:アニー・コルディ/ミシェル・ブラン/シャンタル・ロビー/////////


bakutogaijin.jpg「博徒外人部隊」(DVD)
1971年 監督:深作欣二 出演:鶴田浩二/安藤昇/若山富三郎/小池朝雄/室田日出夫/渡瀬恒彦/由利徹/今井健二/山本麟一/内田朝雄/中丸忠雄/高品格


dunkeruk.jpg「ダンケルク」(DVD)
2017年アメリカ 監督/脚本:クリストファー・ノーラン 出演:フィオン・ホワイトヘッド/トム・グリン=カーニー/ジャック・ロウデン/ジャック・ロウデン/ハリー・スタイルズ/ハリー・スタイルズ/ケネス・ブラナー/マーク・ライランス/トム・ハーディ


dont-breathe.jpg「ドント・ブリーズ」(DVD)
2016年アメリカ 監督/脚本:フェデ・アルバレス 出演:スティーヴン・ラング/ジェーン・レヴィ/ディラン・ミネット/ダニエル・ゾヴァット/エマ・ベルコビッチ


remember-s.jpg手紙は憶えている(DVD)
2015年カナダ/ドイツ 監督:アトム・エゴヤン 出演:クリストファー・プラマー/ブルーノ・ガンツ/ユルゲン・プロホノフ/ハインツ・リーフェン/ヘンリー・ツェニー/ディーン・ノリス/マーティン・ランドー


fuchi-s.jpg淵に立つ(DVD)
2016年 監督/脚本:深田晃司 出演:浅野忠信/古舘寛治/筒井真理子/太賀/三浦貴大/篠川桃音真広佳奈



読んだ本


mikaduki-s.jpgみかづき(森絵都 現代小説)


machine-s.jpgマチネの終りに(平野啓一郎 現代小説)


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映画「淵に立つ」

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心を逆撫でされるような映画である。
そして謎の多い映画である。
一見何も起きないように見える日常のそこ此処に、破綻の兆しを漂わせながら話は進んでゆく。
その鍵となるのが、浅野忠信演じる八坂という男。
町工場を営む夫婦(古舘寛治、筒井真理子)の前に、ある日突然現れ、工場の仕事を手伝いながら同居を始める。
言葉遣いが丁寧で礼儀正しく、清潔感あふれる八坂だが、時折見せる態度にはどこか胡散臭いものがある。
何を考えているのか分からない不気味さがある。
その隠された本性を、いつ現すのかという危うさを纏いながら、家庭は徐々に侵食されてゆく。
そしてついに決定的な事件が起きる。
その事件をきっかけに、八坂は姿を消し、8年を経た後半部では姿を見せることはなくなるが、それでいて残像が色濃く残っており、その存在を強く意識させられる。
映画は全編八坂を中心に廻ってゆくが、いったい八坂という人物は、何者だったのか。
彼が何をしたのか。
そして姿を消した後、どこへ行ってしまったのか。
いずれも結果が示されるだけで、詳しく説明されることはない。
謎は放置されたまま、絶望のなかへと突き落とされる。

暴力など過激なものは、いっさい描かれない。
ただ淡々と、ありふれた日常が描かれるだけだ。
それなのに、いつの間にか張り詰めた不安や怖さに包まれていく。

監督の深田晃司によれば、この映画は彼が所属する劇団「青年団」の平田オリザが語った言葉、「芸術とは断崖の淵に立って人の心の奥底を覗き見るようなもの」に大きく触発されたのだという。
その言葉通り、突き放され、救いのない絶望の淵に立たされてしまう。
映画が放つ暗い魅力に、今なお囚われ続けている。


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Category: 読書

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森絵都「みかづき」

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昨年の本屋大賞で2位になった作品。
初めて読む作家である。
著者紹介には次のように書かれている。

1968年東京都生まれ。早稲田大学卒。
90年『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。
95年『宇宙のみなしご』で第33回野間児童文芸新人賞と第42回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を、98年『つきのふね』で第36回野間児童文芸賞を、99年『カラフル』で第四六回産経児童出版文化賞を、2003年『DIVE!!』で第52回小学館児童出版文化賞を受賞するなど、児童文学の世界で高く評価されたのち、06年『風に舞いあがるビニールシート』で第135回直木賞を受賞した。
『永遠の出口』『ラン』『この女』『漁師の愛人』『クラスメイツ』など、著書多数。

人気作ということで、図書館での予約待ちが多く、いつ予約をしたか憶えていないが、気長に待つうち、ようやく順番が回ってきた。
この後も大勢の予約待ちが続いているので、期限内に遅れずに返却しなければいけないのだが、最近読む時間があまりなく、果たして期限内に読み切れるかどうか心配したが、読み始めるとその面白さにどんどんと引き込まれ、何とか期限内に読み切ることができた。
寝る前に読んだり、夜中に目が醒めた時に読んだり、いつもより早起きして読んだりと、隙間の時間を出来るだけ利用しての読書である。
こうした読書の仕方は、いつものことだが、それにしても400ページを超えるとなると、なかなか容易ではない。
やはり本の面白さという後押しがあればこそである。

終戦直後から現代までの、親子3代に渡る塾経営者の物語である。
その変遷が、戦後の混乱期、高度成長期、バブル期などを背景に描かれる。
語り手は3人、小学校の用務員から塾教師になった吾郎と、妻の千明、そして孫の一郎。
彼らの目を通して、時代の移り変わり、それに伴った教育制度の変遷や教育問題が描かれていく。
そのなかで翻弄されながらも、それぞれのやり方で教育と悪戦苦闘する姿が力強く描かれる。
同時に、離反や和解を繰り返しながら変化し繋がっていく家族の姿も。
教育という世界を通して見た現代史であり、家族史である。
地味な題材であるにもかかわらず、エンターテインメントとしての面白さに満ちている。

<学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になる。今はまだ儚はかなげな三日月にすぎないけれど>

<常に何かが欠けている三日月。 教育も自分と同様、そのようなものであるのかもしれない。欠けている時間があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むものかもしれない>

題名の「みかづき」は、こうした言葉から採られたもの。
時間はかかったが、いろいろと考えさせられることの多い、読みごたえのある小説だった。


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プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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